米政府は19日、ダークウェブ『シルクロード』での薬物取引で得たビットコインでの売上をマネーロンダリングに使ったとして、麻薬密売人である男の逮捕を発表しました。
今回の事件でマネーロンダリングされたビットコイン総額は1900万米ドル(約20億円)にものぼるとされます。
この事件は、近年相次ぐ仮想通貨のマネーロンダリングを発見した事例として、仮想通貨業界に注目されるでしょう。
事件の詳細と、仮想通貨業界が同様の犯罪を解決するべく行っている現在の取り組みについて紹介します。
要点
米で麻薬密売で得た仮想通貨約20億円のマネーロンダリングが発見され、犯人逮捕に至りました。このように、過去にマネーロンダリングを解決した事例や、現在の世界的な取り組みなどを解説します。
どうやって麻薬密売で得たビットコインのマネロンを見破った?
政府発表によると、2017年から2018年の間に、麻薬密売人の男は『シルクロード』を通して麻薬取引を行い、決済をビットコインで行わせ、仮想通貨取引所内の自身の口座に送金させていました。
容疑者は口座内の資金をまた別のところに送金し、証拠隠滅させる「マネーロンダリング」という行為に及んだとされています。
これは「資金洗浄」ともいわれ、自身が犯罪に使った「汚い口座」から無関係の「きれいな口座」に移すことを意味します。
HSI(国土安全保障調査団)の特別捜査官は、操作の一環として雇用したブロックチェーン分析の専門家の協力を得て、ビットコインの取引履歴を記したブロックチェーンデータをもとに通貨の流れを調査しました。
その結果、逮捕された男絡みの麻薬取引で送金されたビットコインの在り処を押さえたとのことです。
ビットコインのブロックチェーンには麻薬絡みの「汚い取引」の記録が残ったままなので、これが犯罪の証拠になったわけです。
今回の違法取引で使われたビットコインはすでに押収済みとされています。
この事件での特別捜査官やブロックチェーン専門家の活躍は、仮想通貨が関係する犯罪抑止に大きな一歩を進ませたでしょう。
仮想通貨マネーロンダリング解決の取り組みは急速に進んでいる
仮想通貨がマネーロンダリングを受けるのを阻止したり、されてしまったものを見破ったりするなどの取り組みは、現在業界で急速に進んでいます。
5月30日には、株式会社BUIDLがアンチマネーロンダリングシステム「SHIEDL」(シードル)を発表しました。
このシステムは犯罪に使われた通貨を見破り、善意の利用者に警告することで、資金洗浄を防止できるとのことです。
6月21日にはFATF(金融活動作業部会)が、仮想通貨マネーロンダリング防止を目的に、取引所に顧客の確認や不審な取引報告の徹底など、監視強化を求める方針を発表しています。
7月19日には、日本政府がメッセージ伝送式の決済ネットワークシステム「SWIFT」の仮想通貨版を整備していることが報じられています。
SWIFTはアンチマネーロンダリングシステムを備えていることで有名で、仮想通貨にも類似システムを適用しようという意向でしょう。
ここ2ヶ月だけでも、以上のようにマネーロンダリング対策に取り組む仮想通貨関連機関が相次いでいます。
仮想通貨関連の犯罪を抑止する動きが活発であれば、我々ユーザーも安心して仮想通貨取引ができるでしょう。
まとめ
米で麻薬取引に使われた仮想通貨のマネーロンダリングを見破り、犯人を逮捕した事件は、仮想通貨業界の犯罪抑止への動きの大きな一歩となったでしょう。
現在の仮想通貨業界では、マネーロンダリングを抑止するため、システム開発やコンプライアンス徹底などの活発な動きが見られます。
最近でも7月12日に発生したビットポイントでの事件をはじめ、取引所から流出した仮想通貨の多くがマネーロンダリングされていると考えられます。
以上のような犯罪を阻止するために、仮想通貨業界が対策に積極的なのは素晴らしいことでしょう。
今後のマネーロンダリング対策の進化が期待されます。