仮想通貨を使った違法取引が世界的な問題になっています。
人身売買や違法薬物の密売などに使われているからです。
仮想通貨はブロックチェーンの性質上、取引当事者の特定が難しいとされます。
しかしそれをよいことに、やましいことに使う人が大勢いるようです。
今回は仮想通貨を使った違法取引の実態をまとめました。
要点
仮想通貨決済の違法取引が増えている
GAO(米会計検査院)の調査によると、最近仮想通貨を使って人身売買や薬物の取引をする例が増えています。
たとえば最新調査では仮想通貨を使った麻薬密売の件数が、2020年に1432件になりました。
2017年では252件だったので、急激に増えているのがわかります。
さらにGAOは、非営利団体ポラリス・プロジェクトの2020年のレポートを引用しました。
人身売買に使われる40のプラットフォームが調査対象になっており、そのなかで仮想通貨は決済手段として2番目に多いという報告でした。
世界的な問題になっている人身売買でも、仮想通貨が用いられるようになったのです。
GAOのリポートでは、さらにダークウェブ上で違法薬物を仮想通貨決済で取引する例が増えていることを指摘しています。
さらに麻薬カルテルによるマネーロンダリングにも仮想通貨が使われているそうです。
このように犯罪的な取引に仮想通貨を使う人が世界中に現れたため、新たな社会問題になっています。
なぜ仮想通貨が違法取引につながるのか
世界的に違法取引で仮想通貨が決済されるのは、その匿名性が原因とされます。
本来ビットコインのような仮想通貨にとって、匿名性はメリットと考えられていました。
しかし匿名性の悪用により犯罪者が暗躍すると、世界の国々が強固な規制をはじめとした対策に乗り出すかもしれません。
仮想通貨の匿名性のメリットは、プライバシーの保護です。
取引情報自体はブロックチェーンによって追跡可能ですが、当事者である個人やグループまでは特定できません。
以上から仮想通貨を使った人のプライバシーは、ある程度守られるのが特徴です。
取引履歴から個人情報が盗まれないうえでは、社会的に有用でしょう。
しかし匿名性を悪用する人がいる限り、犯罪対策の課題になります。
ブロックチェーンの取引情報は世界中の誰でも見られますが、取引にかかわった人物像までは確かめられないからです。
やましいことに使ってもバレないと考えた人が、犯罪目的に使ってしまう可能性もあるでしょう。
実際に仮想通貨を使って、薬物や人身売買のようなやましい取引にかかわる例が増えています。
以上のことに対する仮想通貨の悪用をどのように阻止するのかが課題でしょう。
仮想通貨を使った犯罪的な取引への対策は?
仮想通貨を使った犯罪への対策について、各国はさまざまなアイデアや行動を見せています。
たとえばG7やFATF(金融活動作業部会)で、仮想通貨取引の規制を求める動きが高まっています。
仮想通貨がテロ資金になったり、マネーロンダリングに絡んだりするのを防ぐためです。
しかしここに人身売買は薬物のような違法取引への対策も絡めていただきたいといえます。
以上を踏まえて日本では2016年5月に「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」が生まれました。
さらに犯罪収益移転防止法の改正により、特定事業者に仮想通貨交換業者が加わり、同改正法が2017年4月から始まっています。
またビットコインでも怪しい取引アドレスをデータ化し、セキュリティ向上に役立てる技術が発展するようになりました。
不正に使われた疑いがある仮想通貨を洗い出す動きもあります。
匿名性が特徴である仮想通貨ですが、ブロックチェーンの取引情報自体は残り続けるため、ここが事件解決の決め手になりえるでしょう。
仮想通貨を使った人身売買は違法薬物取引でも、近いうちに強力な対策が実行されそうです。
まとめ
仮想通貨を使って人身売買をしたり、違法薬物を取引する事象が世界的な問題になっています。
これを解決するためには仮想通貨に関する規制を強めたり、怪しい取引アドレスを洗い出し、当事者を割り出したりすることが重要でしょう。
昔から人身売買や違法薬物は社会問題となっているだけに、仮想通貨が絡めばさらに深刻な状況になります。
仮想通貨を使った違法取引対策の、世界的な発展を願います。