リップル社の吉川絵美氏がTwitterで、京都大学がリップルの取引記録システム「XRP Ledger」のバリデーターを立ち上げたことを発表しました。日本の大学がバリデーターを務めるのはこれが初めてです。
発表の詳細やリップルのバリデーターの役割などを解説します。
要点
日本の大学で初めてリップルの取引承認役を担うグループが登場しました。発表の詳細やバリデーターの定義などを述べます。
京都大学が日本の大学初のリップル取引承認役に
13日、リップル社の吉川絵美氏がTwitterで、京都大学が日本初の大学としてのリップル取引承認役「バリデーター」を務めることを発表しました。
https://twitter.com/emy_wng/status/1194509812140138496
アメリカのリップル本社に勤務する吉川氏でしたが、この日は最高技術責任者のDavid Schwartz氏とともに、京都大学で「Rippleのブロックチェーン技術と国際送金革命」という講演をするため来日していました。
講演の最中に、京都大学がリップルのバリデーターとして活動開始することが正式発表された模様です。
今回の発表に関して吉川氏はこのように付け加えています。
https://twitter.com/emy_wng/status/1194511978728837120
吉川氏によると大学組織は、仮想通貨のネットワークを健全に広めていくのにふさわしいと考えているようです。
元々仮想通貨とのリンク性がないということからか、大学組織を「中立的な存在」として、仮想通貨管理への協力に理想的であるという思想がうかがわれます。
リップルのバリデーターとは?
仮想通貨に投資などで関わる多くの人が知るように、リップルはリップル社が開発・運営・管理を一手に引き受けています。
仮想通貨としてのリップルの管理は、同社が展開したネットワーク「RippleNet」が認定した組織が、取引の正当性を認める「バリデーター」として流通をサポートします。ビットコインのマイニングを行うマイナーと似たようなスタンスです。
これまでリップルでバリデーターを務めてきたのは、銀行、決済代行業者など、金融のプロが集うグループでした。しかしバリデーターの本業が金融に偏っていることで、専門的な知識を悪用した不正行為も懸念されていたのでしょう。
京都大学のような異業種が関わることで、取引承認の公平性を強めるのがリップルの狙いと考えられます。
リップルの取引履歴を記録するXRP Ledgerはビットコインのブロックチェーンに相当するシステムですが、一度取引が成立すると撤回されません。
不正な取引を成立させてしまわないように様々なジャンルのグループに目を光らせてもらうのがリップルにとって理想のネットワークの築き方なのでしょう。
京都大学とリップルのこれまでの関わりは?
2019年7月29日にリップル社は京都大学との提携を発表しました。同日に提携が決まったところには東京大学があります。
厳密には大学に金融やテクノロジー関連リソースを提供する「UBRI」(大学ブロックチェーン研究イニシアチブ)という傘下グループが2つの大学のパートナーとなりました。
UBRIは仮想通貨やブロックチェーンなどに関する研究・開発の機会およびリソースの提供、奨学金の援助などを主な事業としています。これまで14カ国33大学と提携しています。
リップル社はこれまでUBRIに約5,000万ドル(約53億円)を投資しており、仮想通貨や決済の専門家の人材開発に積極的であることがうかがわれます。
実際に京都大学大学院人間総合生存学館では複数の学生がブロックチェーンを使った技術の研究を行っているそうです。安全かつ利便性の高い決済ネットワークおよび仮想通貨の開発を進めるリップル社と大学の思いが一致したのでしょう。
11月13日にはCTOであるDavid Schwartz氏らを京都大学総合生存学館にて公共政策大学院と共同する形で講義を行い、そこで同大学のバリデーターの立ち上げが正式に発表されています。
まとめ
11月13日、京都大学がリップルのバリデーターを立ち上げ、仮想通貨の流通に重要な役割である取引承認を担うことが発表されました。これを機に全国の大学で仮想通貨に関する研究や取り組みが発展することが考えられます。リップルと提携した京都大学の今後の動向が注目されます。