仮想通貨取引所であるFTX Japanは14日のプレスリリースで、顧客資産の管理状況を公表しました。
それによると顧客からの預かり資産と、自社資産を分別管理していることがわかりました。
親会社であるグローバル版FTXでは顧客資産の流用があるため、FTX Japanによる管理実態の公表にいたったのでしょう。
FTX Japanとグローバル版における、資産管理の違いについて解説します。
要点
FTX Japanの顧客資産管理について
FTX Japanは14日にプレスリリースで、顧客資産の管理状況を公表しました。
今回の公式発表では、徹底的な分別管理がわかっています。
この管理状況は、金融庁の規定や日本法に準拠しているとのことです。
たとえばFTX Japanは仮想通貨について、顧客分と自社分を別々の領域に分けています。
以下は11日現在のFTX Japanにおける仮想通貨管理状況です。
このように各仮想通貨における自社資産は、すべて顧客分を上回っています。
仮に顧客分と自社分をひとつのウォレットに混ぜている場合、顧客分の数量は分からず、余剰数量も不明になるでしょう。
以上を考えるとFTX Japanでは、健全な運営状況が想定されます。
一方でFTX Japanは法定通貨についても、顧客分と自社分を分別管理しています。
以下は11日時点のデータです。
顧客資産と自社資産を分ける形で、信託口座に預けていました。
余剰額もあり、健全な運営が可能な状態とうかがえます。
しかし親会社が破産申請を出しており、その対象企業にFTX Japanも含まれる状況です。
以上から国内版FTXでも、先行きは不透明といえます。
今後の動向が注目されるところです。
FTX Japanの資産管理状況について、Twitterでは以下の口コミがありました。
グローバル版FTXでは顧客資産流用
一方でグローバル版FTXでは、顧客資産流用が報じられています。
2022年5月に、親会社アラメダリサーチ支援のために流用を図りました。
このとき仮想通貨業界では債務不履行の連鎖が続き、アラメダも影響を受けていたといいます。
上記の件で米では検察に加え司法省、SEC(証券取引委員会)、CFTC(商品先物取引委員会)などが動き出しました。
FTXの顧客資産状況について、調査を進める方針です。
とくにSECは、証券取引法違反の可能性まで指摘しています。
またバハマでも、ロイヤルバハマ警察が調査に乗り出しました。
グローバル版FTXは、バハマを本拠地としていたからです。
バハマ証券取引委員会は、FTXデジタルマーケットの顧客資産が、不正管理としてアラメダへの譲渡にいたった可能性を指摘しました。
さらにFTXのサム・バンクマン=フリード元CEOは共同創業者ゲイリー・ワン氏、エンジニアリング責任者ニシャッド・シン氏とともにバハマにいます。
Cointelegraphによると、同国で当局の監視下に置かれていると、関係筋が話しているそうです。
グローバル版FTXは顧客資産管理がずさんだったことで、各国で包囲網に見舞われています。
以上を教訓にする意味でも、仮想通貨取引所は、顧客と自社の資産を分けて管理することが望ましいでしょう。
グローバル版FTXの顧客資産管理状況について、Twitterから以下の口コミがありました。
まとめ
FTXグループの破産騒動を受け、FTX Japanが資産状況を公開しました。
同社は金融庁の規則に則り、厳格な分別管理をしているとのことです。
一方でFTXは、顧客資産流用が取りざたされており、各国で検察や警察などが調査に動いています。
いかなる企業でも顧客資産の私的流用は許されないため、FTXの波紋はまだ続きそうです。
いずれにしても、これから仮想通貨取引所を利用する際は、分別管理を公表している場所が望ましいでしょう。