要点
ステーブルコインがポンジスキームで悪用?
仮想通貨分析を手掛けるCoin Metrics社からの最新の報告書によると、ステーブルコインが悪意ある活動に利用される可能性が高い事を発表しました。
報告書では、Paxos(※以下はPAX)がいくつかのポンジスキーム活動に関連付けられていることが発覚。
At first, Paxos appears to have a broad userbase.
But on-chain data shows that the two most active accounts on Paxos are linked to MMM BSC, a ponzi scheme which underwent exponential growth in activity this past year.
Read more in this week’s SOTN:https://t.co/6XQo4eTDV9 pic.twitter.com/kHTgzl0iFx
— CoinMetrics.io (@coinmetrics) June 9, 2020
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(日本語訳)
PAXで最もアクティブな2つのアカウントは、昨年1年間で指数関数的に成長したポンジースキームであるMMM BSCにリンクされています。
とツイートされています。
ポンジスキームとみられるMMM BSCを含むPAXの転送は、2011年にSergei Mavrodi(セルゲイ・マブロディ)によってはじめられたMMMGグローバルスキームからの派生グループで、5月下旬には約16,000トランザクションでピークに達しています。
レポートによると、この問題はPAX固有の問題ではないと指摘。
その理由として、ステーブルコインがポンジスキームの支払いに関連しているためであると述べています。
ステーブルコインの利用法
今回の報告書でCoin Metricsは、だれが何をポンジスキーム用にPAXを購入しているかについては、触れていません。
報告されているもので注目すべき点は、PAXを他のステーブルコインと関連付けて、PAX保有者の約50%が未払いの供給の約80%を所有している点です。
この傾向は、ジェミニドル、バイナンスUSD、テザー(=トロン)、USDK、およびHUSDの供給の80%以上を6アカウント以下が所有している点であると報告書に書かれています。
特に、イーサリアム系トークン(ERC-20)のテザーは、すべてのグループの中で最も分散しており、イーサリアム系の一つであるUSDTの約80%は1,600アカウントに分割されています。
USDKの供給分布は特に奇妙で、3355アカウントはUSDKを保有していますが、3170(94%)は、2019年7月にOKexからお金を得たアカウントから受け取った$ 0.5または$ 1のいずれかしか所有していないことが判明。
ほとんどの受信者が使用していないことを考えると、従来のエアドロップのようには見えないと指摘しています。
ステーブルコインを比較するもう1つの方法は、ブロックチェーン上のアクティビティの大部分を占めるアカウントの数を調べることであると同社は語っています。
少数のアカウントがほとんどのトランザクションを担当している場合、それは少数のエクスチェンジ以外では使用されていないことを意味しています。
単一ネットワークの弱点!?
今回、かなり深く掘り下げて分析ができたのは、Ethereumブロックチェーンで発行されるPAXやUSDCなどの安定コインなど、同じネットワークを共有するステーブルコインだったからこそ実行ができたと同社は述べています。
その理由として、アドレスがブロックチェーン間で一貫していないために異なるネットワーク間では分析ができなかったとしています。
ステーブルコインの大部分はイーサリアムERC-20トークンとして発行されているため、今回の分析が実行できたとCoin Metrics社は報告書の中で明かしています。
多くの場合、単純に“ステーブルコイン”として扱われていますが、同社は、ネットワークを注意深く見ていると、これらの資産はどう機能し、どのように異なっているのかが理解できる。
同じように発行されたステーブルコインであっても、ネットワークが異なると、供給や活動の分配に異なる結果をもたらすと締めくくっています。
今、中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)やFacebook社の開発するLibraプロジェクト、石油に連動しているペトロなど、国や企業がステーブルコインの発行を目指して開発競争が水面下で行われています。
しかし、利用する消費者側は単にお金として利用できる選択肢が増えたと楽観視するのではなく、もう一歩掘り下げ、どのような使われ方をしているのかを知ることこそ、資産を安全に守る近道なのかもしれません。