Facebookから発行されるとして注目されていたリブラですが、23日にFacebook社CEOのマーク・ザッカーバーグ氏により正式に発行延期が発表されました。
リブラはかねてからマネーロンダリングに悪用されるおそれが懸念されており、ザッカーバーグ氏がそれに対し明確な対策をできる現状にないと認めた形です。
発行延期発表の詳細と仮想通貨のマネーロンダリング対策事情に迫ります。
要点
マネーロンダリング対策の不十分などで各国首脳から不評となり、発行延期が発表されたリブラ。ほかの仮想通貨のマネーロンダリング対策は大丈夫なのでしょうか。
Facebookがリブラの発行延期を発表
アメリカ大手SNSサービスであるFacebook社CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏が23日にアメリカ下院金融委員会の証言台に立ちました。
そこでザッカーバーグ氏はリブラの発行延期を正式に発表しました。規制当局から認可が得られるまでは発行できないと認めています。
当初ザッカーバーグ氏はリブラについて、法定通貨との通貨バスケット制での連動を計画していました。ビットコインと米ドルのように、仮想通貨と法定通貨をつなぎ合わせ、お互いに相当する価値をリンクさせることを意味します。
しかしザッカーバーグ氏はリブラについて健全な機能が保証されていないことを認めています。23日の時点で法定通貨による電子決済に新サービスを限る可能性を示すなど、新プロジェクトの目標を大幅に下方修正したように取れます。
リブラはFacebookから発行される仮想通貨として、発表当初から話題でした。しかしマネーロンダリングへの悪用など金融面でのリスクが大きすぎると各国首脳が懸念を示しており、17~18日に行われたG20ではリブラの発行反対という結論に達していました。
かねてから仮想通貨がハッキングにより取引所から盗まれマネーロンダリングに使われてしまう事案が世界中で発生しています。
一連のリブラに関する報道で、ほかの仮想通貨のマネーロンダリング対策は大丈夫なのかと気にする人も多いでしょう。
現在の仮想通貨マネーロンダリング対策は?
仮想通貨マネーロンダリング対策は現在、国際社会で重要視され、法整備などで抑止策を着実に進めている状況です。
2015年頃からG7・G20や財務大臣・中央銀行総裁会議など世界各国の要人が集まる会合で、仮想通貨のセキュリティ対策やルールのあり方が議論されています。
特に日本では2017年4月1日に先陣を切る形で仮想通貨に関わる法律を制定し、マネーロンダリングの発生を見越すように「犯罪による収益の移転防止に関する法律」も整備するなど、トラブルの抑止に懸命になっています。
マネーロンダリングを監視する国際組織として有名なFATF(金融活動作業部会)は2019年6月に仮想通貨関連企業への規則を定めています。
各国でバラバラになっている仮想通貨への法整備などの対応に対し、国際組織が初めて一つのガイドラインを作った形でしょう。
10月28日から11月15日まではFATFは対日審査を開始する予定です。審査対象企業のなかにはSBIも含まれると考えられています。SBIは仮想通貨取引所「VCトレード」を7月31日から運営開始したばかりです。
また、コインチェックやDMMビットコインなど有名な取引所をはじめ、何らかの仮想通貨ビジネスに関わる会社の多くがFATFの審査を受けることになるかもしれません。
マネーロンダリング対策などの面で審査結果が悪ければ改善が急務になりますが、裏を返せば、世界が仮想通貨を使った犯罪に対しシリアスに向き合っている証拠と言えるでしょう。
まとめ
リブラ発行延期の原因とされるマネーロンダリング対策は、仮想通貨業界に限らず、世界的な議論の材料となっています。
日本でも政府が仮想通貨関連の法律などを整備したほか、国際組織FATFによる審査が入るなど、仮想通貨犯罪への対策が重要視されています。
マネーロンダリングに限らず犯罪防止への意識が高まることで、ユーザーも安心して仮想通貨に取り組みやすくなるでしょう。