ニューヨーク証券取引所 (NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所 (ICE)が展開する仮想通貨事業「Bakkt」が、9月23日よりビットコイン先物取引および投資信託の取り扱いを開始すると発表しました。
Bakktによる新事業開始の詳細に迫ります。
要点
Bakktがビットコインを使った先物取引および投資信託事業開始を表明しました。新事業の詳細を解説します。
Bakktの新事業内容とは?
Bakktでは、9月23日からビットコインを対象にした先物取引およびカストディサービスを開始すると発表しています。
先物取引とは、ビットコインの売買を予約し当日に決められた契約内容通りに取引することです。
カストディサービスとは、ビットコインの売買、管理、決済、配当金の受領など投資に関係する行動を業者に委任できるサービスです。
先物取引とカストディサービスは、どちらも株式やFXではすでに知られていますが、仮想通貨では歴史が浅いため、まだ事業に乗り出した特筆すべきグループは少ないとされます。
しかし7月23日、Bakktは今回発表したサービスを健全に運営するためのユーザー受け入れテストを開始しています。
その結果、アメリカ商品先物取引委員会からは「セルフ承認」を通しビットコインの先物取引の認証を、ニューヨークの金融サービス局からは投資信託事業開始に必要な「信託ライセンス」をそれぞれ獲得し、今回の新事業が運営できるようになりました。
信託ライセンスを獲得したことで、Bakktの投資信託事業は「Bakkt Trust Company」という名前のもと、公式仮想通貨投資信託サービスとして運営されることになりました。
その結果、Bakktでは仮想通貨版の先物取引および投資信託サービスが展開できることになりました。
世界的な企業による公式先物取引&投資信託サービス誕生ということで、投資業界全般で話題になっています。
Bakkt新事業の特徴は?
Bakktのビットコイン先物取引および投資信託サービスには2つの特徴があります。先物取引が独自価格で展開されることと、ビットコインの取引、決済、ビットコイン受け取りがBakktでできることです。
独自価格による先物取引
Bakktでのビットコイン先物取引は独自価格で展開されます。これは現実のビットコイン市場に影響されず、Bakktオリジナルのレートで売買されるという意味です。
現実の仮想通貨市場では、運営組織や関連企業、大口の投資家による大量売買で価格が乱高下し、ほかの仮想通貨ユーザーの資産状況に悪影響を与えるケースが想定されます。
また、マネーロンダリングによる大量売買は、仮想通貨をハッキングで盗まれた被害者側の救済の可能性を摘み取るだけでなく、別口座に移すための大量売却などにより市場にも打撃を与えかねません。
Bakktでは以上の事態への対策として、オリジナルのレートを設けると発表しています。
先物取引では、ビットコイン取引に対する日間と月間の2種類の契約形式が利用可能とのことです。
取引、決済を任せられ、ビットコインの受け取りもできる
Bakktの先物取引およびカストディサービスでは取引、決済、そして保有するビットコインの受け取りができます。
取引は「ICE EXCHANGE」、決済は「ICE CLEARING」、ビットコインの受け取りは「Digital Asset Warehouse」という機関の協力により取り扱われます。
ICEの主要機関の全面バックアップがあるので、ユーザーは安心して株やFXでできた先物取引や投資信託を、ビットコインでもできるとのことです。
まとめ
アメリカのBakktが仮想通貨の先物取引および投資信託サービス開始を発表したニュースは、投資業界全体で大きな話題となっています。
Bakktの先物取引で扱われるビットコインは現物の市場価格ではなく、Bakkt独自価格で運営されます。
また、投資信託サービスも合わせて、取引と決済およびそれらの委任、ビットコインの受け取りなどをBakktでできるようになります。
日本在住のユーザーがどこまでBakktに関われるかはわかりませんが、サービス開始を含め今後の動向が注目されます。