大手仮想通貨取引所コインベース のCEOであるアームストロング氏が、
App StoreをTwitter上で批判していることが明らかになりました。
事の発端はApp Storeの制約により、仮想通貨アプリの一部の機能が制約されていることにあるようです。
というのも、コインベース は仮想通貨アプリをiOSストアからリリースしていますが、
このアプリには本来搭載される予定であったユーザーが仮想通貨でお金を稼いだり、
分散型金融(DeFi)アプリにアクセスしたりするための機能が禁止されているとのことです。
これについてコインベース のCEOであるアームストロング氏はTwitter上で、
Appleはユーザーの選択に対して過度の制御を行使していると批判しています。
これらの機能が制限されることで、ユーザーがWebとアプリのプラットフォーム間を行き来する必要があるため、
ユーザーエクスペリエンスが低下することになるという懸念があるとのことです。
Appleの仮想通貨への態度
Appleは以前から仮想通貨に対して敵対的な態度を取っていると見られており、
これに関しても仮想通貨業界からは非難の声が多く挙がっています。
実際に、アップルのCEOであるティムクック氏は仮想通貨に対して、
「通貨発行権は政府にあり、民間企業が競合するような分野ではない」との意見を明らかにしています。
また、2019年にAppleが独自に発行を決めたクレジットカードである「アップルカード(Apple Card)」については、
ビットコインや仮想通貨の購入を規約で禁止しているという背景もあります。
その一方で、Apple Payのバイスプレジデント、ジェニファー・ベイリー氏はCNNに対して、
「仮想通貨は面白いと我々は考えています。興味深い長期的な可能性を秘めていると思います」と述べています。
実際にAppleは仮想通貨に対してどのような立場をとっているかは明らかにされていませんが、
現状ではApp Storeでは仮想通貨アプリに厳しい対応がとられているようです。
続くApp Storeの制約問題
これらのApp Storeの制約に異論を唱えているのはアームストロング氏だけではなく、
最近、人気のオンラインゲームであるFortniteの開発元であるEpic Gamesもこの問題を批判しています。
というのも、Epic GamesはAppleの支払いシステムを迂回するゲーム内購入オプションを有効にし、
アプリ内課金に課される30%の手数料を回避しようとしたところ、
アプリがストアから削除されるという事件が起こりました。
これを不服としたEpic GamesはAppleを提訴するまでに発展しており、
現在も多くの企業を巻き込んだ戦いに発展しています。
今回Epic Gamesが禁止されたゲームエンジンである「Unreal Engine」は、
その他多くのゲームにも採用されているため、
ゲームクリエイターやゲーマーに大きな影響が出ると見られています。
これについては、MicrosoftもUnreal EngineがiOSやmacOS向けゲームをサポートできなくなれば、
新たなプラットフォーム構築を検討せざるを得ないと意見を述べています。
App store問題の争点は?
この問題の争点となっているのは、
ハードウェアとソフトウェアのエコシステムを完全にコントロールしているAppleが、
独占企業に該当するかどうかという見方があるようです。
現在の独占禁止法ではAppleのこれらの行為は独占行為とはみなされていないようで、
Epic Games側が敗訴に終わる可能性が高いと見られています。
また、今回の件に関してはEpic GamesがAppleの規約違反を認めているため、
数千万ドル(数十億円)規模の損害賠償が請求されることになるとの予想もあるようです。
Epic Gamesが敗訴に終わったとしてもAppleに対する独占の問題は、
今後も長く争点となっていきそうです。