メタマスクを生み出した米国企業であるコンセンシスが25日、SEC(証券取引委員会)ならびにゲーリー・ゲンスラー委員長ら5名の委員を訴えました。
同社は4月10日にSECからウェルズ通知を受け取っている一方、イーサリアムの有価証券性を否定するため提訴に踏み切っています。
コンセンシスとSECの対立について、詳しく見ていきましょう。
要点
コンセンシスがSECを提訴
コンセンシスは25日、SECおよび関連委員5名を提訴しました。
同社はイーサリアムウォレットのメタマスクなどを手がける、Web3ソフトウェア企業です。
今回提訴に踏み切ったのは、イーサリアムの有価証券性を否定するためです。
仮想通貨の存在意義を守るため、コンセンシスはSECに対して先手を取りました。
SECは仮想通貨の有価証券性を主張し、さまざまな組織を提訴してきました。
代表的なのがリップル社で、SECは同社提供のXRPについて、未登録有価証券として売られていると主張しています。
以上から2020年12月にリップル社を提訴し、現在も裁判が続く状況です。
しかしコンセンシスからの提訴は、SECの強硬姿勢に影響を与えるかもしれません。
コンセンシスは先にSECを提訴することで、仮想通貨の健全性を積極的にアピールする狙いでしょう。
Xでは以下の口コミがありました。
コンセンシスはSECからウェルズ通知を受け取っていた
コンセンシスは4月10日に、SECからウェルズ通知を受け取っていました。
ウェルズ通知とは、SECからの法的措置の予告を示す公文書です。
この書面を受け取ると、SECの求める対応をしない限り、提訴を受けるかもしれません。
コンセンシスはSECから、証券法や取引所法の違反を指摘されていました。
コンセンシスによる仮想通貨交換ソフトウェアである「メタマスクスワップス」が、ブローカーディーラーの正式登録がないまま提供していることが、取引所法に違反するとのことです。
さらに「メタマスクステーキング」というステーキングサービスも、未登録有価証券の提供にあたるため、証券法違反と指摘されました。
以上からコンセンシスは、裁判に持ち込まれるおそれがありました。
しかし実際はコンセンシスの方から、SECを訴えています。
裁判所に対し、イーサリアムの有価証券性の否定を求めるためです。
2023年7月には、リップル社が個人投資家へのXRP提供について、有価証券ではないという判決を勝ち取りました。
以上の前例を踏まえて、コンセンシスがSECの提訴に踏み切った可能性もあります。
イーサリアムをめぐるコンセンシスの主張
コンセンシスは訴状で、SECによる自社やイーサリアムへの攻撃を主張し、反論を複数示しています。
たとえばイーサリアムの取引に関して、投資契約にあたらないと主張しました。
有価証券性にあたらない理由として、中央管理者なしでの分散化の進行を挙げています。
株式と性質が違う点で、有価証券性を否定する狙いでしょう。
加えてコンセンシスは、イーサリアムについてSECの管轄外とも述べています。
さらにメタマスクの交換やステーキングなどについても、合法だと主張しました。
コンセンシスは自社サービスやイーサリアムの健全性を主張するため、自ら裁判に踏み切った形です。
まとめ
コンセンシスはSECからウェルズ通知を受け取っており、提訴されるおそれがありました。
しかし自社からSECを訴え、イーサリアムが有価証券性ではないと主張しています。
2023年7月には個人投資家向けのXRPについて、有価証券にあたらないという判決が下されました。
こうした事例も踏まえ、コンセンシスは提訴を決めたのでしょう。
同社の動向を受けて、SECはどう動くのでしょうか。