仮想通貨とステーブルコインについて言及
日本銀行の黒田総裁は今月27日に行われた会見で、
「仮想通貨は決済手段としてはほとんど使われていない」と、
言及しており今後の見通しについても懐疑的な考えを示していることが判明しました。
以下が黒田総裁の発言まとめになります。
暗号資産については背景となる裏付け資産がなく、
非常に投機的な取引が行なわれていることを各国の中央銀行は懸念している。
一方でステーブルコインは資産の裏付けがある。マネーロンダリング対策、プライバシー、データや消費者保護などの、
問題点を克服する必要性があるがステーブルコインが民間部門の”競争”だけでなく、
”協調”を促進する触媒機能を果たし得るのではないか?と考えており、
日銀としては決済システムの改善や高度化に向けて幅広い関係者との議論を進めている。
今後は民間の取り組みをしっかりと後押ししていきたい。
仮想通貨に対して辛辣な意見を述べられた黒田総裁ですが、
法定通貨と紐づいて資産の裏付け価値のあるステーブルコインに対しては、
一定量の理解を示しており今後民間企業で流動的に活用されるための、
インフラ整備を検討しているようです。
これらの意見は国の通貨を発行する日銀としては当然の見解であり、
日本だけでなく各国の中央銀行総裁が同じような意見を示しています。
下記Tweetで言及されている通り、
仮想通貨には大きく「資産的要素」と「決済などの通貨的要素」の2価値があり、
前者の資産を担保するための「デジタルゴールド」として使われる分には、
国との摩擦が生じないので特に問題はありません。
しかし後者のように決済用途として使われる際には、
国が発行すつデジタル通貨との兼ね合いもあり、
ガバナンスを守るためには排除されるべき対象になるでしょう。
現在日銀は日立製作所へ依頼してCBDC(中央銀行デジタル通貨)の発行に向けて、
実験環境の構築を進めており今年の4月から2022年3月までの期間を、
フェーズ1として設定している。
世界的な市場背景
黒田総裁の今回の発言は世界的な仮想通貨市場の暴落と、
各国首脳の仮想通貨に対する辛辣な意見と同調したのではないかと、
考えられています。
下記がイングランド銀行のAndrew Bailey総裁が今月6日の記者会見で、
仮想通貨について言及した内容です。
人々がそれらに価値を見出すことはある。
仮想通貨には外から与えられる付帯的な価値があるためだ。しかし仮想通貨に本質的な価値はない。
各国金融関係者は仮想通貨がマネーロンダリングなどの犯罪用途に、
使われることを懸念しておりガバナンス確立のため取り締まる方向性です。
将来的にはCBDCやステーブルコインの活用は視野に入れた上で、
インフラ設計を行なっていく姿勢は各国共通のものであると言えるでしょう。
今回の記事のまとめ
- 仮想通貨とステーブルコインについて言及
・仮想通貨は投機を目的としたものであり決済手段としてはほとんど利用されていない
・資産の裏付け価値がないため後押しできない
・中央銀行デジタル通貨の実証実験環境を構築中(2022年3月までが第一フェーズ) - 世界的な市場背景
・黒田総裁の発言は各国と足並みを揃えた形か?
・各国首脳が仮想通貨に対して懐疑的な認識
・法定通貨と紐付けられたステーブルコインに対しては後押しする意向
現在全体的に下落している仮想通貨市場ですがグローバルの投資家達は、
その存在価値を認めておりヘッジ先の資産として、
存続価値は今後残り続けることになると思います。
直近で値上がりを期待するのは難しいですが、
ETF関連のニュースやコロナ回復後の経済が好循環を生み出せれば、
資産価値の向上が見込めます。
今はコツコツ投資を積み上げることが数年後の未来に繋がるのではないでしょうか。