要点
・51%攻撃は、正当なブロックチェーンのマイナーの処理能力を数で圧倒することにより、他の方法では不変のブロックチェーンへの変更を可能にします。
・51%攻撃は、数で圧倒させたマイナーによって、悪意あるアクションを実行する可能性がありますが、今回の再編成について調査官は、タイミングの悪いグリッチであった可能性があると考えています。
イーサリアムクラシックで51%攻撃か
イーサリアムクラシック((Ethereum Classic/ETC)で、3,693ブロックのブロックチェーン再編成の可能性が発覚しました。
Today the #ETC chain experienced a chain reorg of 3693 blocks at block 10904146. This caused all state pruned nodes to stop syncing. It is likely caused by a 51% attack and all exchanges are advised to halt deposits & withdrawals immediately and investigate all recent tx. pic.twitter.com/lUNtifaBWT
— Bitfly (@etherchain_org) August 1, 2020
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日本語訳:本日、ETCチェーンは、ブロック10904146で3693ブロックのチェーン再編成を経験しました。これにより、すべてのノードが同期を停止しました。51%の攻撃が原因である可能性が高く、すべての取引所で預金と引き出しをただちに中止し、最近のすべてのトランザクションを調査することをお勧めします。
マイニング企業のBitflyが最初に再編成を特定しましたが、これは後にBinanceとイーサリアムクラシックの開発元であるETC Coreによって確認されたと海外メディアで大きく報じられています。
ETC Labsのテリー・カルバー(Terry Culver) CEOによると、この再編は悪意のあるものではなく、マイナーがマイニングをしているしばらくの間、インターネットへのアクセスを失ったとカルバー氏は述べています。
51%攻撃の可能性は薄い
今回問題となった51%攻撃とは、悪意を持ったマイナーによってブロックチェーンを危険にさらす可能性があり、攻撃者に無料でお金を貸す「二重支出」トランザクションを実行する唯一既知の方法です。
この騒動により、仮想通貨取引所のポロニエックス(Poloniex)は取引を一時停止する処置を実施したものの、Binanceなどの他の取引所は一時停止はしなかったことが分かっています。
なお、問題発覚後のイーサリアムクラシックのコイン価格は安定しており、取引量も目立つ様な減少はみられておらず、51%攻撃だったのか否かについては意見が二分している状況です。
イーサリアムクラシックは、2016年にハードフォーク時にイーサリアム(Ethereum/ETH)から分岐したことで誕生したブロックチェーンで、イーサリアムクラシックは引き続き独立したプロジェクトとして稼働しています。
問題発生時の状況について
Ethereum Classic Cooperativeで開発者関係を率いるヤズ・コーリー(Yaz Khoury)氏の分析によると、攻撃の可能性は8月1日早朝に何者かがイーサリアムクラシックブロックチェーンで、追加の3,693ブロックをマイニングした時に発生しています。
ブロックが追加されたのは、イーサリアムクラシックネットワーク最大のプロバイダーである2Minersがメンテナンスのためにオフラインであった際に発生しており、2Minersがオンラインに戻った際、2Mineersと競合他社マイナーは、空のブロックを含むチェーンを拾い、それを実際のメインETCブロックチェーンとして受け入れています。
つまり、2Minersがオフライン状態になっている間、他のイーサリアムクラシックマイナーによって作成されたブロックが、検証されていないにもかかわらず実際のETCブロックチェーンとして受け入れられたとみられています。
インターネットアクセスが復元された際、既存のブロックチェーンを維持するためのハッシュパワーを提供する2Minersのような強力なマイナーが存在しないため、通常どおりミステリーブロックを追加して受け入れることができた模様。
イーサリアムクラシックは、イーサリアムブロックチェーンが誕生してから1年目に手動でロールバックした際、イーサリアムコミュニティ内で意見が分かれたことでイーサリアムから分裂し、イーサリアムクラシックとして存在しています。