フェイスブック発の仮想通貨である「リブラ」に暗雲です。13日にフランス・ドイツ両政府が共同声明を出し、リブラを欧州では認可させない可能性を発表しています。金融業界におけるリスクが大きすぎるのが理由のようです。
今回のフランス・ドイツの声明の詳細を紹介し、リブラの概要と欧州で認可されなかった場合の影響を考察します。
要点
フランス・ドイツ両政府はフェイスブック発の仮想通貨「リブラ」を欧州では不認可とする可能性に言及。詳細内容とリブラの説明、仮想通貨業界への影響を解説します。
仏独両政府のリブラに関する声明の詳細
13日、フランスとドイツが共同声明を出し、アメリカのSNS大手フェイスブックがプロデュースした仮想通貨「リブラ」をヨーロッパでは認可させない方針を出す可能性を発表しています。
声明を発表したのはフランスからルメール経済・財務相およびドイツからショルツ財務相です。
両者は声明のなかで、リブラに対する金融リスクの大きさを懸念しており、それに適切に対処できる見通しがないと指摘しています。
マネーロンダリングやテロ資金などに悪用され、リブラの運営側がそれに対して適切な対処ができないと心配されているようです。
さらに共同声明では欧州の法定通貨主権の体制がリブラの導入で脅かされる可能性にも言及しています。
フランスとドイツの法定通貨はともにユーロであり、リブラが導入されれば国民がユーロをおろそかにした結果、欧州経済にショックを与えるのではないかという意味でしょうか。
いずれにしても、フランスとドイツの共同声明は、新たな大物仮想通貨誕生の気運に水を差す展開になるでしょう。
そもそもリブラとは?
リブラとはアメリカのSNSサービス大手であるフェイスブックがプロデュースする仮想通貨です。
現在世界で23億8000万人の利用者を記録しており、国内外の著名人も数多く利用しています。
リブラが誕生すれば、日本でも取引できるのではないかと期待する人も多いでしょう。
リブラは銀行口座を通さずともスマートフォンで決済ができ、仮想通貨としては珍しく手数料もかからないとされています。
以上のことからビットコインなど既存の通貨よりも機能性に恵まれているとも考えられています。
しかし扱いやすさゆえに、マネーロンダリングに簡単に利用される可能性を指摘する声も多く、今回話題となった共同声明でも触れられています。
リブラが欧州で発行されないと?
リブラが欧州で認可を受けないまま発行されると、使える地域が限定された結果、以下の2つの可能性が考えられます。
1つ目は、リブラの価値が地域限定的になり、ヨーロッパ以外の国民の求心力も低下する可能性です。
仮想通貨は世界共通の価値として開発されるものです。リブラがヨーロッパから阻害されればその前提は崩れ、ほかの仮想通貨よりも活発な取引が望まれなくなるかもしれません。
2つ目は、ヨーロッパでの仮想通貨の盛り上がりへの影響です。仮想通貨は現在世界中で推進されているキャッシュレスの手段として注目されていますが、ヨーロッパが法定通貨主権を貫く限り、キャッシュレスの流れからヨーロッパ全体が乗り遅れる可能性さえあります。
そうなってもほかの地域では引き続き仮想通貨が盛り上がりを見せるでしょう。しかしヨーロッパはリブラに対する方針で仮想通貨を歓迎しないスタンスが印象付けられた結果、ヨーロッパ各国民の仮想通貨離れが懸念されます。
まとめ
フランスとドイツが9月13日に共同声明を出し、欧州におけるリブラ不認可の可能性に言及しました。
これによりヨーロッパの法定通貨主権が強調され、リブラは正式に取引所に上場しても、ヨーロッパでは扱えない可能性があります。
リブラがヨーロッパから阻害されれば、その価値やヨーロッパの仮想通貨界に影響が及ぶ可能性もあります。リブラを発行するフェイスブック側が今回の共同声明にどんなアンサーを見せるのかも含め、今後の動向が注目されます。