新仮想通貨としては異例の話題を振りまいてきた「リブラ」ですが、このたび絶望的と思える結果を迎えてしまったようです。
G20では金融面でのリスクなどを理由に、各国でリブラの発行を当面認めない結論が下されました。
以上の結果に至った要因を解説します。
要点
G20で発行不認可の方針が決まり、幻となったリブラ。発行に至らなかった要因を解説します。
G20でのリブラ不認可の要因
10月17~18日にかけて、アメリカ・ワシントンでG20財務相・中央銀行総裁会議が開催されました。かねてから話題になっていたFacebook発仮想通貨であるリブラについて、金融面などでの深刻なリスクから発行不認可の結論が下りました。
リブラにはローコストかつスムーズな送金で経済活動を活発化できるなどのメリットがある一方、主に2つの致命的なリスクがあったとされます。
1つ目は個人情報流出などのセキュリティ問題です。過去には取引所がハッキングされ仮想通貨が流出するなど、サイバー犯罪が幾度となく発生しています。
リブラの発行元であるFacebookでも過去には2019年4月のユーザー情報、9月の登録者の電話番号と複数回流出事件を起こしており、セキュリティに対する意識が低いと政治家たちに判断されたようです。
2つ目はマネーロンダリング対策が不十分であることです。仮想通貨も過去に流出したビットコインがロンダリングされたと考えられており、話題性の高いリブラが発行されてすぐにそうした犯罪に巻き込まれると、経済界への悪影響が避けられません。
しかしG20においてリブラはマネーロンダリング対策も満足にできていないと判断されたようです。
以上の背景からG20がリブラの発行を阻止した結果になりました。
金融界の有力者もリブラに否定的発言
今回のリブラ発行不認可を受け、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOがコメントを発表しています。
ダイモン氏もリブラに対し辛辣な見方しかできなかったことがうかがわれます。
G20閉幕当日の18日には、ゴールドマンサックスとともにJPモルガンがリブラプロジェクト参加を辞退したことも報道されています。こちらの理由もマネーロンダリング利用などによる経済的な悪影響と考えられています。
世界的二大金融グループが、Facebook肝いりのプロジェクトに揃って難色を示したことは、リブラの発行がいかに困難なものだったかを象徴しています。
大手会社が次々とリブラ協会が離脱していたが
リブラプロジェクト頓挫には予兆がありました。11日にeBay、Mastercard、Visaなどの7つの企業グループが、リブラ協会から脱退しています。
これらの企業はリブラが当初発表したホワイトペーパーに設立メンバーとして記されていましたが、プロジェクトの先行きが懸念される背景から身を引いたと考えられています。
しかしこのようなニュースがあってもなお、10月18日の閉幕当日では1500を超えるグループがリブラ協会への参加を希望しているとのことです。
また、eBayやMastercardらと違い、設立メンバーとして加盟を続けている企業もそうそうたるもので、なかには配車サービスでおなじみのUber、音楽アプリのSportify、2018年6月に日本に進出したアメリカの仮想通貨取引所Coinbaseなどが含まれています。
未だ根強いバックアップを味方に、リブラが発行を目指して次のプランに打って出る可能性も否定できません。
まとめ
2019年10月18日に閉幕したG20の結果、仮想通貨リブラの発行の道は閉ざされてしまいました。
個人情報流出などのセキュリティ問題や、マネーロンダリング対策が不透明であることなどが要因とされます。
しかし、まだまだ世界中の大手企業がリブラを支援しており、発行元であるFacebookともども 次の動向が注目されているのも事実です。
大逆転でリブラ発行が決まる日が来るのでしょうか。