金融庁は、1月14日に仮想通貨に関する政令・内閣府令案を公式ホームページで公開しました。
今回の発表は、主に仮想通貨に関する制度整備が中心になっているが、仮想通貨の拠金取引広についても触れています。
要点
目次
仮想通貨のデリバティブ取引・信用取引どちらも上限を2倍にする案
金融庁が、仮想通貨の証拠金取引を上限2倍までに制限する方針を固めたという内容の報道が、10日に日経新聞によって行われたが、今回正式に内閣府令案が出されました。
・約定時必要預託額(第百二十三条第十四項に規定する暗号資産関連市場デリバティブ取引)
暗号資産リスク想定比率を用いない金融商品取引業者等にあっては、当該各特定暗号資産関連店頭デリバティブ取引の額に百分の五十を乗じて得た額
・個人向けの暗号資産信用取引(Ⅱ-2-2-2 (2) ④ イ)
保証金等の額が、以下の区分に応じた 額に不足する場合には、速やかに当該不足額を追加で預託させ る
当該利用者が行う暗号資産信用取引の額(複数の取引について一 括して算出する場合はその合計額)に百分の五十を乗じて得た額
改正案の中で、デリバティブ取引・信用取引どちらについても、取引金額の1/2を保証金として用意する必要があることを記載しています。
2017年頃までは、最大25倍のような取引所も日本にありましたが、その後、徐々にその倍率を規制し、業界の自主規制団体である日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)が定めた4倍の証拠金に各取引所が合わせていました。
そのため、自主規制ではなく、法律によって証拠金取引の倍率を定めるのは、今回が初めてです。
価格が乱高下する仮想通貨から、ユーザーの資産を保護する狙い
今回の改正案は、仮想通貨特有の高い価格の乱高下によるユーザーの損失を抑える狙いのようです。
今回の改正法によって、FXと同じように金商法の対象になることになるが、FXの証拠金上限は25倍です。
金融庁は、仮想通貨の投資熱の高まりを危険と判断しており、FXと比較しても、はるかに制限されることになります。
仮想通貨に関する規制は、約580億円相当が盗まれたコインチェックのハッキング事件から強くなり、仮想通貨の取引所が盛んな日本としては、徐々に風当たりが強くなって来ています。
数十倍以上の証拠金取引ができる取引所が人気
日本政府による風当たりが強くなる一方、海外では100倍の証拠金取引ができる取引所もある。
実際に、世界一の出来高を誇っている証拠金取引の取引所はBitMEXで、最大100倍の取引ができる。
日本でもBitFlyerの証拠金取引が人気で、多くの出来高を誇っていたが、今回の規制によって首を閉められたような状況になっている。
ユーザー保護のための規制ということは分かるが、規制しても日本の取引所から海外に乗り換えるだけでは?と疑問視する声も上がっています。
金融庁は、パブリックコメントを募集中
金融庁では、今回の改正法案の発表に伴い、広くパブリックコメントの募集を行なっています。
令和2年2月13日までコメントを受け付けており、パブリックコメント終了後に、法改正の執行を行う予定です。
まとめ
仮想通貨だけでなく、特にブロックチェーンへの注目度は年々高くなっています。
仮想通貨に対する規制の強化によって、詐欺やハッキングなどの被害が現象することは喜ばしいですが、産業自体の足取りが重くなるような規制になっては元も子もありません。
今後どのような議論が行われていくのか、注目です。