NFTは有価証券とみなされるのでしょうか。
米SEC(証券取引委員会)は28日の公式発表で、ロサンゼルスの企業Impact Theoryへの提訴を明かしました。
同社が未登録有価証券として、NFTを提供していたと述べています。
NFTに対する法的執行措置は初めてとされますが、物議を醸しそうです。
米SECによる新たな提訴の案件をまとめました。
要点
米SECがNFTをめぐり法的執行措置
SECは28日に、Impact Theoryの提訴を発表しました。
同社が未登録の有価証券としてNFTを売ったと主張しています。
SECはこれまで、仮想通貨を未登録の有価証券とみなして、関連企業の提訴を繰り返してきました。
しかしNFTに関する案件は、今回が初めてとされます。
Impact Theoryは、カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点としたメディア・エンターテイメント企業です。
SECの訴状によると同社は、2021年10月から12月に「ファウンダーズ・キー」というNFTを提供しました。
SECはこのときのNFT購入について、同社事業への投資を促す行為とみています。
以上から未登録有価証券の提供とみなしたのでしょう。
NFTをめぐるSECの主張は、米国内を中心に議論が高まりそうです。
Xでは以下の口コミがありました。
Impact Theoryの対応
Impact Theoryは今回の提訴を受け支払いへの同意や、NFTの破棄などを発表しました。
SECに対して、総額約610万ドル(約9億円)以上を払うことになります。
不正利益の放棄や民事罰金、利息などに以上の金額を要した形です。
SECの調査結果に対して肯定も否定もしていませんが、結果的に降伏したことになります。
さらにImpact Theoryによる、今後のNFT事業に関する対応も明らかになりました。
保有中の全NFTの破棄、二次市場取引からのロイヤリティの放棄などに同意しています。
SECからは、NFT購入者への資金返還用の基金を建てることも求められる状況です。
NFTをめぐる提訴により、Impact Theoryは事業の見直しを強いられました。
SEC内部からの反対意見
今回のSECの措置に対し、内部から反対意見が挙がりました。
Hester M. PeirceとMark T. Uyeda両委員による共同声明が公開されています。
両委員はImpact Theoryの手法について、誇大宣伝かどうかは疑わしいと主張しました。
同社発行のNFTについて、企業の株式でもなければ購入者に配当を与えるものでもないと見ているからです。
以上から投資契約につながる種類ではないと述べています。
加えて両委員は、Impact Theoryの対応についても言及しました。
同社が2021年12月と2022年8月に、買い戻しプログラムを設けていたからです。
NFTの買い戻しを通し、イーサリアム(ETH)で総額約770万ドル(約11億円)を払っていたといいます。
Peirce委員らは本件について、NFTの規制に関する議論を始めるべきとも主張しました。
しかし基本的に今回のNFTの措置を、強引すぎたと考えているようです。
まとめ
SECがNFTをめぐり、初の提訴に踏み切りました。
訴訟を受けた企業であるImpact Theoryは、民事罰金の支払いやNFTの放棄などに同意しています。
これをきっかけに、NFTの規制に関する議論も過熱するでしょう。
今回のSECの措置に対しては、内部からも反対意見が挙がりました。
仮想通貨に続いて、NFTの有価証券性をめぐる論争にも今後注意しましょう。