今年度前半の仮想通貨不況により、破産にいたる企業が相次ぎました。
そのなかでCelsius NetworkとVoyager Digitalが、再建に向けた動向を示しています。
Coinpostによると、前者では日本時間19日に公聴会を開く予定です。
後者では顧客の凍結資産の出金解除要請に動いています。
それぞれの動向をまとめました。
要点
Celsius Networkとは?
Celsius Networkは、アメリカを拠点とする仮想通貨融資企業です。
高利回りな預金が主力商品でした。
顧客から仮想通貨を預けてもらうだけでなく、企業自体も他企業に資産を貸し、金利を収入としていたのです。
しかし相場急落の影響がCelsiusを襲います。
仮想通貨不況により、Three Arrows Capitalの債務不履行が起きました。
ここで資金回収不能が起きたことから、Celsiusが破産にいたっています。
Coinpostによると、ほかにも米国の融資企業である「Equities First」が、Celsiusに約4億3900万ドル(約600億円)の債務を負っているとされます。
Celsiusは、貸した資産の大半が戻らなかったことが経営破綻の原因です。
金銭的な問題が大規模であるため、再建の道は険しいでしょう。
Celsius Networkの動向
13日に米で破産申請をしたCelsius Networkは、日本時間19日に公聴会を開きます。
公聴会は、企業再建計画の最初の段階です。
Celsiusはそこで裁判所向けの事情説明をする予定になっています。
しかし現時点で、Celsiusに再建の可能性があるかはわかりません。
現時点で同社には、債務返済関連の具体的な情報がないからです。
以上から利用者にとっては、まだ安心できない状況が続くでしょう。
Celsiusがたどる再建プロセスは、債務返済に関する情報がカギになりそうです。
Voyager Digitalとは?
Voyager Digitalは、アメリカの仮想通貨融資企業です。
こちらも年利の高さをアピールしており、多数の投資家が仮想通貨を預けていました。
企業自体も、仮想通貨マーケットメーカー企業に資産を貸し出し、金利収入を得ています。
しかしThree Arrows Capitalのトラブルによって不良債権が起きました。
これにより負債を処理しきれずに、破産申請にいたったのです。
Celsius同様、こちらも利回りの高さをアピールし、多額を運用していました。
しかし仮想通貨不況でサービスが機能しなくなり、破産した形です。
以上の流れから、Voyagerの再建も簡単にはならないでしょう。
Voyager Digitalの動向
Voyager Digitalは、凍結中の顧客資産から約3億5000万ドル(約484億円)の出金要請に動いています。
その資産は、メトロポリタン商業銀行の顧客用口座に保管されたままです。
Voyagerは、その銀行に出金対応を認めてもらうように求めました。
8月4日には、Voyagerが公聴会を開催予定です。
出金対応の可否は公聴会のあとになるとされます。
Voyager Digitalは、13億ドルの自己資金に加え、Three Arrows Capitalからの返済分、独自トークンVGXTによる株式の補償を合わせ、ユーザーへの資産返済を進める予定です。
しかしThree Arrows Capitalの資産回収額が不透明であることから、プラン変更の可能性も想定されます。
こちらも再建の道が険しくなりそうです。
まとめ
仮想通貨の相次ぐ暴落やThree Arrows Capital問題などにより、世界的な関連企業の破産が相次ぎました。
Celsius NetworkとVoyager Digitalもそれに巻き込まれましたが、現在は再建の道を模索中です。
しかしそれぞれ不透明な情報もあり、企業として立ち直るのは簡単ではないでしょう。
再建を目指す各企業の、今後の動向が注目されます。