イギリス領バミューダ諸島が、仮想通貨都市の候補として業界で注目されています。同地域のデビット・バート首相が政府に対するお金の支払いに仮想通貨を対象とすることを表明しました。
バート首相の発表内容を詳細に解説し、これまで世界に生まれた仮想通貨都市の例を紹介します。
要点
バミューダ諸島のデビット・バート首相が仮想通貨を公的通貨として認め、同地域が「仮想通貨都市」になると注目されています。
バミューダ諸島が「仮想通貨都市」の仲間入り?
バミューダ諸島は、アメリカ・フロリダ東沖に位置しており、北大西洋上のカリブ海にあるいくつもの小さな島をまとめてひとつの地域としています。
同地域のデビット・バート首相は、政府に対する公的な支払いに仮想通貨を含めることを宣言しました。
仮想通貨という新しいテクノロジーから生まれた資産概念が、バミューダの経済成長を助けるというのがバート首相の考えのようです。
バート首相の決定の背景には、ブロックチェーンを使った金融サービス企業「サークル」のバミューダ進出、ブロックチェーン技術開発企業「ビットフューリー」がバミューダにある島の土地登記制度に対するブロックチェーン技術採用など、複数の金融・テクノロジー関連グループがバミューダに注目していることが考えられます。
バミューダが地域全体に仮想通貨・ブロックチェーンを浸透させることで、同類のビジネスモデルとして世界に認知される可能性もあります。
これまで誕生した仮想通貨都市
仮想通貨都市は、これまでも世界の複数の都市で誕生しています。代表例を3つ挙げます。
スイス・ツーク
スイス連邦の州であるツークは、金融都市として有名なチューリヒの南側にあります。仮想通貨関連の政策を積極的に採用した結果、「クリプトバレー」として世界的に認知されています。
スイスでは仮想通貨ビジネスの参入に特別な資格を要さず、イーサリアムの開発も同国で行われた背景があり、ヨーロッパのなかでも仮想通貨に対する理解度が高いとされます。
特にツークはイーサリアム財団の設立拠点にもなっています。ほかにもテゾス、リスクといった仮想通貨運営グループがツークを拠点としており、仮想通貨ビジネスに理想的な場所と知られています。
「uPort」と呼ばれるブロックチェーンを使ったデジタルIDサービスが2017年11月に市民向けに提供されるなど、仮想通貨・ブロックチェーンを使った画期的な試みが多数行われているのもポイントです。
以上のことからスイス・ツークは仮想通貨先進地域として世界中から注目されています。
マルタ共和国
マルタ共和国は南ヨーロッパの共和制国家となる島国です。面積は東京都23区程度の半分程度ですが、神秘的なリゾート地として毎年世界中から多数の観光客が訪れています。
近年多くの仮想通貨に関連するグループがマルタ島に注目しています。有名なのは世界最大手の仮想通貨取引所であるバイナンスの香港からの移転です。後を追うように同じく香港のOKExもマルタ島へ移転しました。
これは還付金などマルタ島独自の法人制度を利用することで節税効果が高く、仮想通貨に関わる法整備もハイレベルであることが背景として考えられています。
マルタ島自体が低所得率であり、相続税、贈与税もなく、純利益に税金がかからないなどタックスヘイブン的要素も仮想通貨ビジネスのやりやすさに拍車をかけているようです。
以上のことから、マルタ島も仮想通貨都市として多くの関係者から高評価されているようです。
マレーシア・マラッカ
マラッカはシンガポールと隣接するマレーシアの歴史都市です。2019年4月30日にザ・サン紙は、マレーシア政府がマラッカ市内の多数の地域で法定通貨のリンギットを廃し、DMIコインと呼ばれる仮想通貨での決済を義務化する計画を明らかにしています。
DMIはビジネス、モバイルなどの情報やサイバーセキュリティを提供するテクノロジー企業です。同グループが発行したコインは、外部地域から到着するなり法定通貨と両替する形で支給されるとのことです。
DMIの関連アプリもPCと携帯電話両方から利用できるなど、高い利便性が期待されます。
以上のことから、マラッカ全体が仮想通貨都市に変わり、観光面での盛り上げを狙うマレーシア政府の思いがうかがわれます。
まとめ
バミューダ諸島のデビット・バート首相が、同地域の公的支払いに仮想通貨を認めました。バミューダが仮想通貨大国になるとして、世界中から注目を浴びています。
これ以前にも、イーサリアムの拠点として知られるスイス・ツーク、仮想通貨取引所バイナンスの拠点になったマルタ島、観光客向けに仮想通貨を専用通貨と認める計画のマレーシア・マラッカなど、複数の地域で仮想通貨文化の浸透が進んでいます。
以上の動きは、ビットコインをはじめ仮想通貨の将来性を高める要因となるでしょう。