ビットコインの最大供給量が2,100万BTCであるということをご存じの方は多いかと思います。
しかし、現在発行済みのビットコインのうち、既に消失してしまった"持ち主の居ないビットコイン"がいくつあるかを知っている人は少ないでしょう。
今回は、そんな持ち主の居ないビットコインについてお話していきたいと思います。
失われたビットコインは戻らない
仮想通貨ユーザーの中には、送金アドレスを間違えて仮想通貨を闇に葬ってしまった方も少なからずいるでしょう。
いわゆるゴックスと呼ばれている行為ですね。
このゴックスによって失ってしまった仮想通貨は、取引所の対応できる範囲を超えてしまうと2度と人の手に渡ることはありません。
特にビットコインに関しては、どんな凄腕のハッカーでも復元することが不可能でしょう。
理論上では、量子コンピューターが進化することによって復元できるのではないかとも言われていますが、少なくとも数十年以上の長い月日が掛かります。
既に1.65兆円ものビットコインが消失
では一体、現時点でどれほどのビットコインが復元できない状態にあるのでしょうか。
仮想通貨分析をしている Coin Metricsがその答えを調べてみたところ、およそ150万BTC(1.65兆円相当)であることが判明しました。
この150万BTCは、2010年7月以降に動いていないビットコインであり、恐らく既に所有者が居なくなったもしくはアドレスにアクセスできなくなったビットコインだと推測されたことから、既に消失しているビットコインと判断されたようです。
もちろん、2010年7月以前からひたすらホールドをしている可能性もある為、この150万BTC全てが完全に失われているとは言い切れません。
とは言え、2010年頃のビットコインはほぼ価値が付いていない状態だったので、大半のユーザーは適当にビットコインを保管していたことでしょうから、既にアドレスにアクセスできない可能性の方が高いでしょう。
また、2010年7月~現時点までの間に、送金ミスで闇の彼方に送られてしまったビットコインはカウントされていない為、もしかしたら150万BTCを遥かに上回る量のビットコインが失われている可能性だって十分あります。
失われるほど価値は上がる
ビットコインは、発行量の上限が設けられていることが特徴です。
日本円やドルのように、不足したから増やそう・多すぎるから焼却しようなんてことは出来ません。
一応、技術的にはハードフォークによってビットコインの発行上限を増やすことはできるのですが、コミュニティの大半の同意が得られないと実行ができない為、実現することはあり得ないでしょう。
万が一あり得るとするのであれば、世界中に人間がビットコインを当たり前に使うようになり、現状の発行数では補い切れないと大半のユーザーが判断した時でしょうから、ビットコインの価値自体は大幅に上昇しているはずです。
XRPやXEMのように中央集権的な通貨は、限りなく可能性は低いものの、発行上限が解放されて価値が減少する恐れがありますが、ビットコインはその心配がないのです。
その為、ビットコインが失われれば失われるほど、世界中に出回っているビットコインの総数は減少するわけですから、それに比例してビットコインの価値は上昇していきます。
ただ、現状ではどのビットコインが闇に葬られたかは送った本人やアドレスを忘れた本人にしか分からない為、正確な数値を出すことはできません。
つまり、消失したビットコインは市場には織り込まれていないのです。
これからビットコインの供給量が半減期などで減っていく一方で、ビットコインを集める層は増加していくでしょうから、必然的にビットコインの希少価値について人々は意識していくようになると考えられています。
その際に、失われていると判断されたビットコインも市場に織り込まれて、価格を上昇させる要因になるかもしれません。