インド行政が再び仮想通貨を禁止する法案を用意していることが明らかになりました。
報道によると、インド政府が法案を議会に提出する前に法案に関する閣議がなされる予定であり、
その結果によってはインドで仮想通貨が禁止される可能性があるとのことです。
現段階では具体的な法案の詳細などは明らかにされていないものの、
仮想通貨取引の全面禁止の法案が成立すれば、
インドの170万人以上の仮想通貨ユーザーに影響があるとみられています。
二転三転するインドの仮想通貨への態度
インドでは仮想通貨に対しての態度がこれまでに二転三転しているようです。
というのも、今年3月にインドの中央銀行であるインド準備銀行(RBI)が、国内の銀行および金融機関に対して、
仮想通貨関連のサービス提供を禁止した命令が違憲であるとの判決が下されています。
この判決は当時のインド市場に大きな影響を与えており、
インドでは「プチ仮想通貨バブル」が発生するほどであったとのことです。
実際に、業界関係者によると未だに多くの銀行は仮想通貨関連の企業に対して、
銀行サービスを提供していないというのが現状のようです。
その一つの原因としてインド国内で仮想通貨を規制するしっかりとした法整備がなされていないことや、
取引所のセキュリティやマネーロンダリングなど犯罪への対策などが不十分であることが挙げられています。
インドは人口規模で中国に次ぐ規模を誇っているため仮想通貨の利用普及の可能性が期待されており、
今回の仮想通貨禁止の法案が可決されれば大きな影響が出るとみられています。
インドでの仮想通貨需要は?
インド政府は仮想通貨についてやや懐疑的な見方を示していますが、
インドの市場についてはこれとは反対の様相を呈しているようです。
というのも、インドの最高裁判所が3月に銀行規制を解除して以来、
インドにおける仮想通貨取引の量は増え続けているとのデータがあるようです。
仮想通貨データサイトであるコインダンス(Coin Dance)によると、
P2P(ピアツーピア)取引所のPaxfulとLocalBitcoinsのビットコインの取引量が7月に過去最高になったとのことです。
実際インドは、世界で最も急速に成長している5つのビットコインユーザーグループの1つであり、
Paxfulにおける仮想通貨の取引高は2019年5月の約57万6000ドルから2020年7月には897万ドルに成長しているようです。
また、インドではデルタ取引所などの小規模な取引所も成長しており、
デルタ取引所のパンカジ・バラニCEOによると新規顧客が前月比で倍増しているとのことです。
インドで仮想通貨需要が急増した原因は?
インドのビットコイン需要拡大の理由はいくつか考えられますが、
2016年の高額紙幣廃止が大きく関係しているとみられています。
2016年にインド政府は現行の500ルピー(約800円に相当)紙幣と1,000ルピー紙幣を廃止する旨を発表しました。
この二つの紙幣はインドで発行されている紙幣の約86%を占めているとのことです。
高額紙幣廃止後の18日間でビットコインの価格は757ドルから1020ドルに急騰しており、
インド人投資家にとって、金などと同様に価値を貯蔵する手段としてビットコインの需要が急増したことが考えられます。
もう一つの需要としてインドの国際送金需要が関係していると考えられています。
というのも、インドでは海外で働いているインド人が1700万人以上いるとみられており、
2018年には800億ドル(約8.6兆円)以上を海外から送金していてその手数料は約6100億円にも登るとされています。
そのためインドでは高額な支払い手数料を回避するために様々な国際送金手段を模索しているようです。
その選択肢の一つとしてビットコインが注目されているようで、
インドで仮想通貨需要が急増している原因になっているとのことです。
さらに国内の原因としてインドルピーの不安定な価格が挙げられています。
新型コロナウィルスのパンデミックが始まって以来、対米ドルで7%以上下落していることもあり、
価値を貯蔵する手段の一つとしても仮想通貨に注目が集まっているようです。