ロイター通信によると米破産裁判所は13日、FTXによる仮想通貨売却を承認しました。
FTXは2022年11月に経営破綻しており、残務処理に追われている最中です。
しかし今回の裁判所の決定により、米ドルでの顧客返済ができます。
またロイター通信はFTXの仮想通貨売却承認により、市場の価格変動リスクも最小限にとどめられると報じました。
FTXの近況を詳しくまとめます。
要点
米破産裁判所がFTXの仮想通貨売却を承認
米破産裁判所は13日に、FTXの仮想通貨売却を承認しました。
FTXは保有中の仮想通貨を清算して、資金調達を進められます。
読売新聞オンラインによるとFTXは2022年11月の破綻時点で、数兆円規模の負債を抱えていました。
残務処理には、仮想通貨を含めた保有資産の売却が欠かせません。
今回の承認により、FTXは破産処理を進めやすくなります。
米ドルによる顧客返済を始められるからです。
さらに仮想通貨市場の価格変動を最小限にとどめられる見通しです。
企業が保有中の仮想通貨を売るには、大量売却による市場価格の暴落を防がなければなりません。
裁判所の指導により、FTXは市場に迷惑をかけない形で、残務処理を進められます。
X(旧Twitter)では以下の口コミがありました。
FTXが仮想通貨を売る方法
FTXは保有中の全銘柄を、一斉には売却できません。
大量売却により、各銘柄の市場価格が暴落するからです。
以上が起きると投資家から批判が起き、FTXの残務処理に影響が及びます。
二次的な加害を防ぐ意味でも、計画的な売却を求められていました。
そこでFTXは、毎週1億ドル~2億ドル(約150億円~約300億円)相当まで仮想通貨を売却できます。
売却にあたっては、米国の顧客代表である公式委員会や、米国外の顧客代表の特別委員会の同意が必要です。
裁判所の命令によりFTXは、売却10日前に米国管財人事務所へ通知しなければなりません。
以上の手続きを行えば、仮想通貨を売却できます。
FTXは週ごとに、売却価格を制限されています。
仮想通貨の市場価格を過剰に落とさない形で、資産処理を進めなければなりません。
FTXは価格変動を抑える提案をしていた
FTXは仮想通貨売却にあたり提案書を出し、米破産裁判所に承認されています。
提案書では、以下の要望を示していました。
・トークンのステーキングの権利留保
たとえばビットコインやイーサリアムのヘッジにより、価格変動のリスクを下げられます。
これらは仮想通貨のなかでも時価総額が高く、比較的推移が安定するからです。
FTXは売却承認時点で、約34億ドル(約5000億円)相当の仮想通貨を所有しています。
しかしそのうち約11.6億ドル(約1700億円)がソラナでした。
ソラナをはじめマイナー通貨を別銘柄でヘッジして、市場価格の暴落を抑える狙いです。
またFTXは、ステーキングの権利も認められています。
仮想通貨の預金による利益が、債権者への資金還元につながるからです。
別通貨へのヘッジやステーキングを認められたので、売圧による仮想通貨市場への影響は抑えられそうです。
まとめ
FTXは米破産裁判所から、仮想通貨の売却を認められました。
売却期間中は、毎週の売却額の制限がかかります。
加えてFTXは、保有通貨の別銘柄へのヘッジやステーキングも認められています。
これにより売圧による市場への影響は抑えられそうです。
FTXは数兆円規模の負債を報じられているので、残務処理にはかなりの時間がかかるでしょう。
しかし売却の見通しがついたので、一歩前進ととらえられます。