経営破綻した仮想通貨融資企業のGenesisは、事業売却を進める方針です。
23日にニューヨーク南部地区の破産裁判所で、そのように説明しました。
Genesisは事業再建ではなく、残務処理に専念するようです。
Genesisの経営破綻の経緯を踏まえ、現況を見ていきましょう。
要点
Genesisは「仮想通貨の冬」に負けて破産した?
Coinpost報道によるとGenesisは、破産裁判所への説明にあたり、ダウンロード可能な資料を明かしています。
それによると、2022年の仮想通貨不況が原因とのことです。
つまり景気悪化に耐えられる手段がなく、経営を続けられなくなったのでしょう。
Genesisは破産の原因として、以下の4つを示しました。
・2022年6月からのThree Arrows Capital(3AC)の経営破綻
・2022年7月のVoyagerやセルシウスの経営破綻
・2022年11月のFTXの経営破綻
Genesisは以上の出来事を「仮想通貨の冬」と表現しています。
確かに2022年は、テラのディペッグ騒動やFTX問題など、仮想通貨業界にとってネガティブなニュースが多い時期でした。
Genesisは他社の経営破綻が相次いだ結果、自社も巻き込まれたと見ているようです。
実際にテラや3ACの騒動により、仮想通貨市場は大きく落ち込みました。
ここから市場が充分に回復していないときに、FTX問題が起きたとされます。
以上からGenesisは投資家の信頼を失い「バンクラン」状態になったとのことです。
バンクランとは金融機関崩壊の懸念から、顧客資産の出金が集中する状態を示します。
Genesisでも仮想通貨の求心力低下により、資産の引き出しが相次いだ結果、経営上の実害を受けたのでしょう。
26日時点で、Genesisは10万人の債権者を抱えています。
推定負債は約10億ドル~100億ドル(1300億円~1兆3000億円)で、保有資産も同程度とのことです。
Genesisが今後どのように負債整理をするか、注目が集まるでしょう。
経営破綻後のGenesisの動向は?
Genesisは23日に、ニューヨーク南部地区の破産裁判所で今後の見通しを説明しています。
それによると事業売却がメインになります。
資産売却や資金調達を進め、負債を減らしていく方向です。
Genesisの債権者には、そうそうたる企業名があります。
仮想通貨取引所Gemini運営のGemini Trust Company、マーケットメイカーのCumberland DRW、資産管理会社VanEckのNew Finance Income Fundなどです。
このようにGenesisには、お金を返さなければいけない相手が多数います。
事業売却を進めるにしても、Genesisはこれから長い道のりを進むかもしれません。
債権者との合意は間近か
Genesisの主張では、債権者との合意が間近です。
海外メディアはGenesisの弁護士が裁判官に対し、今週末までに債権者協議が合意に達する見通しを伝えたと報じています。
同社が破産手続きを早く進めたい様子がうかがえます。
またGenesisは、債権者の動向に応じて、複数のプランを用意しているようです。
今後も債権者との協議を続け、合意を得た内容によっては、計画変更の可能性もあります。
合意に時間がかかる可能性がある場合、調停者任命を求める見通しです。
事業整理の計画を明かしているGenesisですが、どこまでうまくいくのでしょうか。
まとめ
経営破綻に追い込まれたGenesisですが、今後は事業売却に向かうようです。
同社側の主張では、債権者協議がスムーズに進んでおり、破産手続きが早く始まる可能性もうかがえます。
しかし負債額や債権者の多さから、長い道のりになりそうです。
Genesisは経営破綻の原因として、2022年の仮想通貨不況を挙げました。
テラやFTX問題などの影響を受け、Genesis自体がバンクラン状態に陥ったとのことです。
いずれにしても仮想通貨不況の影響で、またひとつ企業が厳しい状況に置かれています。
Genesisがいかに解決を目指すかが気になるでしょう。