要点
インドでP2P取引量の急増
2020年7月、インドではビットコインのP2P取引(※1)量が史上最高の取引量を記録しています。
(※1)Peer to Peer=P2P取引きとは、中央集権型ネットワークによる取引ではなく、各端末が同じ台帳を保有する分散型台帳システムを言います。
インド南部に位置するカルナータカ州バンガロール(Bangalore)の技術系スタートアップ企業である、マーリン(Marlin)社のシッダールタ・ドゥッタ(Siddhartha Dutta)CEOが、最近のビットコインの需要急増について語っています。
インドでは、これまでにも何度となく、仮想通貨取引に対して反対or容認の両極端な考えの間で政府自体が揺れ動き続けています。
しかし、ビットコインなどの仮想通貨の価値が、スタンスを二転三転させる政府によるものではなく、市場の原則に基づいて価値が決まっていく点に多くのインド国民が魅力を感じているようです。
インド国内で人気の仮想通貨取引所ゼブペイ(Zebpay)のビットコイン価格は、アメリカ国内の価格が比較的安定しているにもかかわらず、脱収益化後わずか18日で757ドルから1,020ドルに急騰しています。
一部のインド国内の投資家にとって、政府の気まぐれともとれる右往左往する政策の影響を受ける事がないビットコインへの投資は、富を保存し、不確実性を最小限に抑える安全なオプションと捉えられていました。
現在も成長を続けるインドの仮想通貨市場は、2018年を機に一気に鈍化し、RBI(Reserve Bank of India=インド準備銀行)によって、金融機関に対し仮想通貨取引所との取引を禁じました。
現在、銀行規制の撤廃によって、仮想通貨に対する要求が開放されたように見えるものの、政府自らが仮想通貨の価値について言及することはできません。
最近のビットコイン取引の動向は、PaxfulやLocalBitcoinsなどのP2P取引所の利用がインド全土で増加しています。
グラフが示すように、インドのP2Pビットコイン取引量は過去5か月で2倍になっています。
主要P2P取引プラットフォームの1つ、Paxful広報によると、インドは現在世界で最も急成長している5つのビットコインユーザーグループの1つと述べています。
Paxfulのインドのボリュームは、2019年5月の約576,000ドルから2020年7月の877万ドル(約9億2,000万円)に急増。
PaxfulおよびLocalBitcoinsのP2Pインドの取引慮合計は、1,370万ドル(約14億5,000万円)に達しています。
さらにインドでは、P2P取引所における取引量急増だけではなく、Delta Exchangeのような、インド市場にサービスを提供する小規模取引所も急成長しています。
Delta Exchangeのパンカイ・バラニ(Pankaj Balani)CEOは、新規登録だけでも毎月100%の増加だと明かしています。
ドゥッタ氏は、農村エリアでのインターネットの接続と、高速ストリーミングの提供に役立つメッシュネットワークのおかげでモバイルインターネットにアクセスしているものの、仮想通貨取引きが徐々に勢いを増していると考えており、さらに大きな採用サイクルの始まりを示す可能性があるとコメントしています。
仮想通貨関連のスタートアップ企業も増加
強気市場とコロナウイルスパンデミックが加わり、インドの新興市場が今以上に活性化する可能性があると市場関係者らは見ています。
バンガロールを拠点とする起業家兼ライトニングウォレットを提供しているLastbit社の共同創設者プラシャント・バラスブラマニアン(Prashanth Balasubramanian)氏は、同社は、インド市場を超えてヨーロッパ、そして最終的には北米にサービスを提供することを目標にしている事を公表しました。
しかし、同氏による予測において、今年度は検疫の年になると見ており、事業展開に関してまずは自国で建設するのが良い時期だと考えています。
デュッタ氏は、暗号通貨プロジェクトがコロナウイルス不況の期間中、インドのテクノロジー業界全体が確かに成長する可能性があると見ていることから、引き続き市場の大規模化が行われると予想していると述べています。