SEC（米証券取引委員会）は5日、仮想通貨取引所のBinanceと同社のチャンポン・ジャオ（CZ）CEOに対する提訴を明かしました。
Binanceが提供する一部仮想通貨について、未登録証券としての違法取引を指摘しています。
そのため仮想通貨市場でも、ビットコインをはじめ多くの銘柄が下落しました。
SECの動向とその影響について、詳細を解説します。
要点
Binanceに対するSECの訴状
SECは公開した訴状において、Binanceの未登録有価証券の販売を主張しています。
その対象はBNBトークン、BUSD、ソラナ（SOL）、ポリゴン（MATIC）など10数種類です。
SECによる別途監視対象であるリップル（XRP）も実質的な対象と見られます。
このようにSECは、Binanceが多数の通貨を違法に提供したと考えているようです。
SECが未登録証券とみなした仮想通貨は、約16兆円（約1150億ドル）とされます。
大規模な資産が裁判の焦点となるため、業界への影響も懸念されるでしょう。
SECからの提訴を警戒して、取引所が仮想通貨の新規上場を敬遠する可能性があるからです。
取引所によっては、特定銘柄の取引を停止するおそれもあります。
SECの主張どおりに仮想通貨が有価証券とみなされれば、市場が大きく縮小するかもしれません。
Twitterでは以下の口コミが見られます。
SECが主張する「有価証券」とは？
SECが主張する有価証券とは、財産的価値を有する資産を意味します。
一般的には株式や債権、小切手などが含まれ、仮想通貨が該当するかは世界的な議論が続く状況です。
SECはこれまで一部仮想通貨を有価証券して、販売前に正規の登録を済ませる必要があると主張してきました。
たとえばリップル社は、2020年12月にXRPを未登録有価証券とみなされ、現在もSECとの裁判が続きます。
このようにSECは仮想通貨を有価証券とみなすスタンスで、米国内で多数の関連企業を提訴しています。
BinanceはSECの対応を批判
Binanceは6日のプレスリリースで、SECから提訴を受けたことを公表し、彼らに対する批判的なコメントも示しています。
プレスリリースで同社は、SECの懸念に対する対応や、調査協力をしてきたと語っています。
最近に関しては和解に向けた議論を進めていたと主張しました。
一方でSECに対し、仮想通貨業界に明確な規則を提供していないと指摘しています。
つまり今回の提訴に、Binance側は不服を感じているようです。
SECとリップル社の裁判では、リップル社側に有利な展開が見られました。
一方でBinanceに対するSECの提訴では、どのような進展があるのでしょうか。
訴訟を受けて仮想通貨相場は軒並み下落
SECによるBinanceへの提訴を受け、仮想通貨市場が影響を受けています。
ビットコインでは、SECの訴状公開があった5日に集中的な下落がありました。
GMOコイン販売所の日足チャートで見ていきましょう。
5日の始値が371万9989円でしたが終値は349万1732円と、約6.1％の値下がりです。
ほかにもファイルコインやBNBをはじめ、訴訟で言及された銘柄が軒並み大幅に価格を下げています。
提訴を受けて、投資家によるリスクオフや狼狽売りが相次いだのでしょう。
このようにSECの相次ぐ提訴が、仮想通貨市場を揺るがしています。
まとめ
SECはBinanceに対し、10数種類の仮想通貨を未登録有価証券とみなして提訴しました。
これにより仮想通貨市場も、SECの訴状公開当日に軒並み下落しています。
世界的取引所であるBinanceが裁判の対象になり、リスクオフや狼狽売りが相次いだのでしょう。
SECとBinanceの裁判は、仮想通貨の将来に影響を与えそうです。
