要点
・ニュージーランド警察はこの疑惑に関連し、仮想通貨取引所BTC-eとその所有者であったVinnikが保有する資産を凍結しました。
BTC-eの元運営者の資産をNZ警察が凍結
ニュージーランド(※以下、NZ)警察の資産回収部門は、NZの会社で資金を保有していたCanton Business Corporation社と、その所有者であるアレクサンダー・ヴィニック(Alexander Vinni)が保有する1億4,000万NZドル(およそ9,300万USドル強)を凍結した事を22日に公式に発表しました。
ヴィニックは仮想通貨取引所BTC-e(現、WEX)を運営しており、この仮想通貨取引所を通じて、複数の世界的機関が、マネーロンダリング防止ポリシーに反した取引をしていたことがNZ警察の捜査によって判明しています。
これらの犯罪によって、当局は少なくとも40億ドル相当のビットコイン取引されたとみており、NZ警察は、アメリカ歳入庁と緊密に協力し、対処していく構えを見せています。
なお、仮想通貨取引所BTC-eは、2011年に運営が開始されており、当初から2017年に閉鎖されるまでの6年間に7万人の利用者と21,000件のトランザクションを確認。90億ドルを超える仮想通貨取引を処理していたと推定されています。
ヴィニックの身柄引き渡しで各国が争奪戦状態に!?
(※写真はイメージ図)
ヴィニックが仮想通貨取引所BTC-eを通じて得た莫大な資金は、サイバー犯罪と組織犯罪から得ており、世界で数千人の犠牲者から得た利益の可能性があるとニュージーランド警察関係者はコメントしています。
今回の巨額マネーロンダリング事件はNZの歴史上、最大の額であり、規制の厳しいアメリカで運営されていた同取引所ですが、マネーロンダリング対策などは実施していなかったことが判明しています。
ダークネット上で暗躍する犯罪組織はそれに目を付け、同プラットフォームをサイバー犯罪者の資金洗浄の場として積極的に使用されていたと主張しています。
NZ警察による調査は現在、これらの資金没収を求め、高等裁判所への申請が保留されているとNZ警察コミッショナーであるアンドリュー・コスター(Andrew Coster)はコメントしています。
BTC-eは2014 年に発生した当時最大の仮想通貨取引所であったMt. GOX社へのハッキングのほか、2016年にロシアのサイバー集団が仕掛けた米民主党候補者への電子メール攻撃などの犯罪で得た資金をマネーロンダリングする舞台として利用されてたことがこれまでに分かっています。
ヴィニックは2017年7月26日、ギリシャのテッサロニキ市内にて、家族とバカンス休暇で訪れていた際に逮捕され、ギリシャにて2年半の間拘束。
その後身柄はフランスに引き渡され、仏警察監視の下で現在も拘留されています。
しかし、ヴィニックの身柄はフランスでマネーロンダリングなどの罪によって裁判にかけられる可能性が高いものの、アメリカが身柄の引き渡しを要求しているほか、ロシアの警察当局からも身柄の引き渡し要請がなされています。
アメリカの裁判所でヴィニックはフランスと同様の刑事裁判にかけられる可能性があり、裁判で有罪判決が下された場合、最大で55年の懲役刑に科される可能性が高いと海外メディアは伝えています。
アメリカの起訴状によると、BTC-eはセイシェル諸島にて登録。
運営されているウエブサイトのドメインについては複数の管轄区域にあるペーパーカンパニーに登録されています。