経営破綻を迎えた仮想通貨融資企業Celsius Network(セルシウス・ネットワーク)ですが、Bloomberg報道によると新トークンで巻き返そうとしています。
債権者への返済を目的として「AST」開発の可能性が報じられているのです。
しかし破産企業による新トークン開発には、管財人や金融規制当局の承認を要するなど、ハードルもあります。
果たしてCelsiusの返済計画はうまくいくのでしょうか。
同社の現況や、新トークンついてまとめました。
要点
新トークン「AST」とは
ASTとは、Celsiusが新たに開発を試みているトークンです。
こちらは「アセット・シェア・トークン」の略になります。
Celsiusは新トークンの利益を通して、顧客の信頼回復を目指すのでしょう。
このトークンは、Celsiusの債権者をターゲットにしています。
一定基準以上の資産をCelsiusに預けていれば、ASTトークンを受け取れるしくみです。
うまくいけば、ユーザーがAST計画を通し、Celsiusを見直すかもしれません。
経営破綻企業によるトークン開発が本当なら、珍しい例です。
果たしてAST計画はうまくいくのでしょうか。
Coinpostは、Celsiusの弁護人であるRoss M. Kwasteniet氏の見解を紹介しています。
それによるとASTトークンが流通しても、債権者が完全に資産回復を果たすとは限りません。
一方で流動的資産を求める層には有益としています。
さらに将来のASTトークンについて、従来の仮想通貨同様の取引が可能になると見ているようです。
ただしAST開発計画では、管財人や金融規制当局の承認が必要です。
実際にトークン開発失敗により損失を増やすと、経営破綻企業にとっては致命的なダメージでしょう。
顧客からの反発も大きくなるかもしれません。
果たしてCelsiusによるASTトークンは、本当に流通を始めるのでしょうか。
Celsiusの現況
Celsiusの現況について、Coinpostは以下を報じています。
・Celsiusからの出金が一部ユーザーに許可される
どららも債権者の資産回復につながる情報です。
ASTトークン開発は、うまくいくとしても時間がかかるでしょう。
そのなかでユーザーにとっては、まずは資産回復手段の確保が重要です。
フレアトークンのエアドロップは、米ニューヨーク南部地区の破産裁判所が24日に認めました。
これによりCelsiusの債権者を対象としたエアドロップを進められるようになります。
エアドロップを受けるには、一定の条件を満たさなければなりません。
2020年12月のスナップショット時点で、仮想通貨リップル(XRP)を1単位以上持っていることです。
その保有量に応じて、フレアを受け取れます。
エアドロップを受けたユーザーは、ある程度の資産回復を見込めるでしょう。
また破産裁判所はCelsiusのプラットフォームについて、仮想通貨出金も認めました。
Celsiusの破産申立日以降にユーザーが送金していた場合、それを仮想通貨として引き出せるしくみです。
このとき仮想通貨は、取引手数料の差引を受けてから、ユーザーに渡ります。
ただし送金料が4万ドル(約517万円)を超えるときは、債権者委員会の承認を要します。
Celsiusに多額を預けている場合は、引き出しに時間がかかるかもしれません。
それでもCelsiusユーザーが、損失を取り戻す手段を得られるのは朗報でしょう。
まとめ
Celsiusは債権者の資産回復を目指し、新トークンとしてASTの開発を考えているようです。
しかしこのトークンも流通がうまくいくかはわかりません。
管財人や金融規制当局の承認も要するので、今後の動向が気になるでしょう。
一方でCelsiusは、AST以外の形で、債権者が資産を取り戻す手段を認められています。
フレアトークンのエアドロップや、一部ユーザーに対する仮想通貨出金許可などが代表例です。
AST開発よりも、まずはユーザーの資産と信頼の回復が課題になるでしょう。