11月24日のAFP報道によると、23日にインド議会が民間の仮想通貨を禁止する方針を発表しました。
法案通過なら、インドではビットコインをはじめ、ほとんどの仮想通貨を扱えないことになります。
この動きは中国が9月において仮想通貨取引を全面的に禁止したことに続く形です。
インドの仮想通貨規制の現在を追いました。
要点
インドではほとんどの仮想通貨を使えない可能性
インドで仮想通貨がほぼ全面的に規制される機運が高まっています。
決済手段としても、資産としても使えなくする法案が提出される見通しだからです。
今回の法案が通れば、インド国内では民間仮想通貨が全面禁止になります。
仮想通貨技術を進めるため、一部で認められるケースもあるようですが、その詳細もわかっていません。
2021年はビットコインをはじめ、多くの仮想通貨が市場勢力を強めて話題になりました。
しかし仮想通貨は短期間で大幅な値動きをするなど、一定のリスクが指摘されています。
仮想通貨の保有が日常化することで、犯罪への悪用や、経済への悪影響を指摘する声もありました。
インドは仮想通貨のリスクを強調し、全面禁止に踏み出す方針です。
一時は資産として認める報道もありましたが、これも否定された形になります。
インドでは仮想通貨への懸念が強かった
もともとインド国内では、仮想通貨への懸念が強かったようです。
ナランドラ・モディ首相は仮想通貨について、「若者への脅威」(a risk to young people)と表現しています。
お金の使い方に慣れていない若者が仮想通貨をもつことで、生活に悪影響が及ぶ可能性を懸念したのでしょう。
さらにインド準備銀行(RBI)のダス総裁も、仮想通貨について「インド経済や財政の安定性への脅威を示す」(a threat to India’s economic and financial stability)とコメントしました。
これだけの要人が国内で仮想通貨に反対すれば、全面禁止への流れも仕方なかったのでしょう。
まだ法案が通過したわけではない以上、全面禁止とは違った結論の可能性もあります。
しかしインドの現状は、一切の仮想通貨を受け入れないというスタンスのようです。
CBDCは推進の見通し
インドは、CBDCについては推進するようです。
2022年度においてRBI主導のもと試験導入をする機運を高めているからです。
CBDCは現金のような実体がない点で仮想通貨と似ています。
しかしビットコインやイーサリアムといった民間の仮想通貨と違い、中央銀行のコントロールがあります。
以上からCBDCは民間の仮想通貨以上の信頼性が見込めるのが特徴です。
仮想通貨と同じ感覚で使いながら、中央銀行が発行主であるという安心感を得られるでしょう。
インドは仮想通貨のあり方を参考にしながらも、そのリスクを懸念して全面禁止の方針に進んでいます。
その代替案としてCBDCが浮上しているのでしょう。
まとめ
インドで民間の仮想通貨を禁止する動きが高まっています。
まだ法案が提出される見通しにすぎませんが、通過すればインド国内ではビットコインなどが一切使えません。
一方でインドではCBDC推進の動きを高めています。
仮想通貨を強力に規制しながら、中央銀行が発行するデジタル通貨を持たせることで、経済の活性化を狙うのでしょう。
インドの動向は9月に仮想通貨を全面禁止した中国に続くものです。
今後も仮想通貨の規制について、さまざまな国が動くでしょう。