マイニングハッシュレートの移動
ビットコインのマイニング施設が集中する中国では、
他のエリアに事業をシフトするマイナーが続出しており、
ビットコイン最大のマイニングプールの1つであるF2Poolの共同創設者である
チュン・ワン氏は以下のように発言しています。
自社においても、2021年4月までの8年間の運営の中で初めて、中国国内から来るBTCハッシュレートよりも、
中国国外から来るBTCハッシュレートの方が多くなったことを確認しました。このシフトは本物です。
https://t.co/nf2gBy62re- ちゅん@dogecoin.org (@BocaChicaDoge) 2021年5月3日
ビットコインの個々の取引はトランザクションとしてブロックに記録されていきます。
その過程においてブロックを生成するのに必要なナンス値を導き出すための計算力の指標としてハッシュレートは用いられます。
これまでは、全世界中の半数以上のハッシュパワーが中国に集約されており、
その安価な電気代と世界最大の水力発電施設を稼働させることで、
比較的クリーンな電気を大量に使用し、膨大な量のビットコインを採掘することに成功していたようです。
しかし、世界的な脱炭素化の潮流が発生し、発電時のCO2の値など規制が生じたことで、
中国内陸部で行わていた火力発電ベースのマイニング事業などは、
撤退しなくてはいけない事態に追い込まれています。
中国で起きた大規模停電
先月中国の新疆ウイグル自治区で起きた大規模停電の影響で、
多くのマイニングプールのハッシュパワーが低下したと見られており、
F2Poolが9.25%減、AntPoolが24.21%減といった統計データが取られています。
停電のきっかけになったのは、炭鉱で発生した洪水事故が原因と見られており、
1500人もの救助作業員を動員する大規模な事故であったことが伺えます。
また、先月の18日にビットコインが一時14%急落し、5万1541ドルを付けた際には、
こちらの停電事故が起因しているとの推測もあり、ビットコイン価格と密接に関係しているようです。
米国を中心としたマイニング施設の新規稼働
中国から北米・カナダ圏にマイニング施設のシフトが進んでいますが、
その中でもCO2を排出しない形の新しいマイニング事業に多くの機関投資家からの注目が集まっています。
先月には米国のグリフォン・デジタル・マイニングが再エネ100%のマイニング事業を名目に1400万ドルを調達しており、
それ以外では油田で発生する余剰ガスを活用した発電エネルギーをマイニングに使う動きなど、
脱炭素を意識した事業投資が積極的に行われています。
米国ではバイデン政権に変わった事で、より環境投資に対して積極的に行う姿勢を見せ、
中国ではデジタル人民元を発行するためにマイナーの活動を規制する動きが見られることから、
今後は自然エネルギーが豊富な北米を中心に新しいマイニングファームが構築されていくことになりそうです。
まとめ
近年ではブロックチェーン業界の中で脱炭素を目指すためのコンソーシアムの立ち上げも増えており、リップルのような代表的な企業も、
2030年までに再エネ100%を達成することを目標に掲げて活動を開始してます。
地球環境に配慮した取り組みをしているのか否かという視点は今後、
数多く存在する暗号資産を精査するうえで重要な指標になるのではないでしょうか。