フィナンシャルタイムズによると、金融庁は昨年12月、日本暗号資産取引業協会(JVCEA)に警告を送ったそうです。
その背景としてマネーロンダリング対策の遅れが指摘されています。
一方でJVCEAの関係者は、業界がリソース不足により、うまく対応しきれないと話しています。
金融庁とJVCEAの関係性に何があったのでしょうか。
その詳細を踏まえ、マネーロンダリング対策事情をまとめました。
要点
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)とは
JVCEAとは、仮想通貨関連の自主規制団体です。
その目的は投資家を過剰な損失から保護するためになります。
仮想通貨の現物取引やデリバティブ取引では、多額投資による莫大な損失をする人が想定されるため、ルール整備によってそのリスクを抑えるのです。
JVCEAは資金決済法に基づいて、ほかに複数の協会も兼ねています。
資金決済法によって「認定資金決済事業者協会」、金融商品取引法によって「認定金融商品取引業協会」です。
このようにJVCEAは、仮想通貨業界におけるコンプライアンス整備において、重要な存在とされます。
金融庁が懸念を示すマネーロンダリング防止策の遅れ
金融庁がJVCEAに警告を送ったのは、マネーロンダリング対策の遅れが原因とされます。
仮想通貨のマネーロンダリングは、世界的な問題になっているからです。
たとえば盗んだお金を仮想通貨に換えたり、それを別の口座に流したりすれば、マネーロンダリングになります。
今回の報道によると金融庁は、JVCEAの運営体制にも批判的とされました。
金融庁によると理事や事務局、会員事業者間における意思疎通がうまくいっていないとのことです。
JVCEAと金融庁の関係性悪化は、仮想通貨業界にとって気になる一報といえます。
金融庁の警告報道について、以下の口コミが寄せられました。
JVCEA側のコメントは?
JVCEA理事にして明治大学教授である弥永真⽣氏は、このような趣旨を話しています。
「業界の対応には時間がかかっている。そこで、金融庁は、マネロン対策を進めるよう非常に強く要請している」
出典:Coinpost「金融庁、日本暗号資産取引業協会に警告か=報道」
また上記報道によると、JVCEAは証券会社や銀行などの退職者が主要メンバーになっています。
以上から、仮想通貨やブロックチェーンに関する理解が組織内で進んでいないそうです。
さらに弥永氏は、マネーロンダリング対策に素早く対応するためのリソース不足も感じているようです。
以上の背景から、金融庁が犯罪対策を強く求めても、JVCEAがうまく対応できないという事情が見受けられます。
世界的にはマネロン対策としてトラベルルールがある
世界的には仮想通貨のマネーロンダリング対策として、トラベルルールが設けられています。
トラベルルールとは、FATF(金融活動作業部会)が決めた規則です。
以上により仮想通貨のサービス提供者は、取引の当事者の情報収集や交換を通し、情報の正確性を保証しなければなりません。
2022年10月1日に、より本格的な施行が進められる予定です。
JVCEAも自主規制規則に基づいて、2022年4月からトラベルルールを取り入れました。
彼らとしては、一定のマネーロンダリング対策は進めている様子です。
しかし金融庁からしてみれば、まだ対策が足りないとされます。
このような問題が一段落するのは、いつになるでしょうか。
まとめ
金融庁はマネーロンダリング対策をめぐり、JVCEAに警告を送ったと報道されています。
その背景として、JVCEA側における犯罪対策の不備が挙げられるようです。
JVCEA側も対策に取り組んでいるようですが、金融庁が認めるレベルにはまだ達していないとされます。
一方で対策に対応するだけのリソースが足りないなど、苦しい状況もうかがえます。
今後は仮想通貨業界において、高度な犯罪がいつ起きるかわかりません。
その意味でもマネーロンダリング対策をめぐる、金融庁とJVCEAの連携強化がカギになるでしょう。