米リップル社は23日に、ミクロネシア地域にあるパラオ共和国との提携を発表しました。
さまざまな金融機関との提携を広めるリップルですが、国家全体との提携は9月のブータン王国以来2例目になります。
今回の提携では、政府支援によるステーブルコインの発行を見据えているそうです。
米リップル社が国家と提携する狙いを解説します。
要点
リップルとパラオ共和国の提携について
米リップル社は23日に自社公式サイトのプレスリリースで、パラオ共和国と提携を結んだことを明かしました。
目的として2022年上半期における、政府支援のステーブルコイン導入を挙げています。
他にもクロスボーダー決済の開発をパラオ共和国で実現させる狙いのようです。
リップル社は今回の提携により、パラオ共和国にさまざまな政策サポートを与えます。
具体的にはステーブルコイン導入に必要な技術、関連ビジネスなどを助ける方針です。
リップル社は金融機関との提携が多いイメージでしたが、国家全体を相手にするのは9月のブータン共和国以来です。
9月22日にリップル社はブータン王国でのCBDC(中央銀行デジタル通貨)試験運用に協力することを明かしています。
パラオ共和国で開発予定のデジタル通貨はCBDCと異なりますが、新しい通過流通に向かって動き出したようです。
パラオ共和国で検討中のステーブルコインとは?
パラオ共和国ではCBDCではなく、ステーブルコインの導入が検討されています。
こちらは法定通貨と価値を連動させた仮想通貨で、世界的には米ドルと結びついたテザー(USDT)が有名です。
具体的には1ドル=1コインというように、仮想通貨1枚あたりの価値を固定することで、安定した市場を目指します。
ただし1ドル自体の価値は、他の通貨換算で変わります。
たとえばドルに価値を結びつけた仮想通貨は、日本円やユーロ換算だと価値が変動する仕組みです。
しかし法定通貨の価値変動はビットコインのような仮想通貨より小さいため、ステーブルコインは安定した市場を望めます。
リップル社はパラオ共和国に対して、XRPレジャーをベースにしたステーブルコインを提供する見通しです。
ブータン共和国とはCBDCの開発で提携していますが、パラオ共和国は方針が違うので異なる結果が出るでしょう。
パラオ共和国は仮想通貨の規制に積極的
パラオ共和国自体は、仮想通貨の規制に積極的でした。
ステーブルコイン導入の方針により、仮想通貨に前向きな姿勢と考える方もいるでしょう。
しかし実際のパラオ共和国は、同国での仮想通貨事業を禁止するなど、コンプライアンスに厳しいようです。
仮想通貨は法整備が一定に達していないことから、悪用や犯罪などのリスクが指摘されています。
法整備ができていないことで、犯罪やトラブルが起きても責任の所在がわからなかったり、補償を受けられなかったりする可能性もあるのです。
このような事態を避けるために、パラオ共和国は仮想通貨事業に強い規制を敷いているのでしょう。
その代わりにリスクの少ないステーブルコインを導入することで、独自のデジタル通貨流通を目指しているようです。
まとめ
リップルとパラオ共和国の提携が話題になっています。
リップル社は同国に対し、2022年上半期導入予定のステーブルコイン開発に協力する方針を明らかにしました。
今回の提携をきっかけに、リップル社がCBDCやステーブルコインを広める狙いが見られます。
デジタル通貨の導入は、まだ世界的には珍しいといえますが、リップル社の活躍次第ではお金の常識を大きく変えそうです。
その意味でもリップル社とパラオ共和国が手を組んだ意味は大きいでしょう。