要点
・これに関連するかのように、ロシアでは一般投資家(非プロ)の仮想通貨投資額に制限を設ける声が飛び出しています。
ロシア中央銀行がCBDC発行か
※画像引用先:ロシア銀行(Bank of Russia)
仮想通貨取扱量が東ヨーロッパの中で2番目に多いロシアの中央銀行であるロシア銀行(Bank of Russia)が10月13日付の最新報告書にて、CBDC(中央銀行発行のデジタル通貨)にあたる「デジタル・ルーブル」の発行を示唆しました。
これは、ロシアの法定通貨である“ルーブル(₽:Rubles=RUB)”のデジタル版として位置づけられ、現金を補完するとロシア銀行は説明しています。
最新報告書の中でロシア銀行は、現金以外のお金が日常の決済でますます使用され、社会は現代技術を用いて金銭的決済のスピード、利便性、安全性を高めることを求めるニーズが高まっている事を背景にデジタル・ルーブルの発行を検討している事を語っています。
デジタル・ルーブルの全体像について
同報告書では、さらに一歩踏み込んだ内容が記載されています。
デジタルルーブルを電子ウォレットにクレジットし、オンラインとインターネットへのアクセスがないオフラインのケースの両方で、モバイルデバイスやその他のメディアを使用してそれらを使用する機会がることを考慮していく。
デジタルルーブルから現金または銀行口座に、またはその逆に自由にお金を転送できると同時に、オフラインモードで使用できるようにする特別な技術を開発する必要があると語っています。
これら高度な技術の使用は、決済コストの削減や、支払い技術の改善などにつながり、セキュリティ確保などが考慮されて行くと述べています。
なお、ロシア銀行は2019年末、犯罪資金やマネーロンダリング、テロ組織への資金供与、為替レートの急激な変動を理由とした為替取引における重大なリスクなどを理由に、仮想通貨禁止を表明しています。
CBDC発行の裏側で仮想通貨投資への制限
ロシア銀行は、デジタル・ルーブル発行を示唆する一方で、一般の仮想通貨への投資を制限する動きも見せ始めています。
「注釈(ちゅうしゃく)」とタイトル付けされたロシア銀行のレポートの中には、“的確な投資家”ではない投資家に対し、1年間60万ルーブル(約80万円)以上の投資を認めない、つまり、年間60万ルーブルまでという制限を提案しています。
この提案は、DFA(On Digital Financial Assets=デジタル金融資産関連法)と呼ばれるロシア国内初の仮想通貨法案に組み込まれるとのことで、法案にはサービスや商品の決済として仮想通貨を使用することは禁止されますが、ロシア国内で仮想通貨取引が合法になるというものです。
同法案が可決された場合、仮想通貨投資への制限も実施され、2021年1月1日に発効される予定とのこと。
ロシアの仮想通貨とデジタル・ルーブルの法的位置づけ
ロシア銀行によって提案されている2つの課題は、現在実用化へと走り続け、世界初の国家承認デジタル通貨を発行するのではないかとみられる中国のデジタル人民元の影響を少なからず受けていると言えます。
ロシア国内での法的位置づけとして、仮想通貨取引は合法だが投資額に制限を設けることで一定の緩和を与え、決済などは全てデジタル・ルーブルで済ませたいとの思惑が見て取れる。
日本でもCBDC実証実験を検討していることから、ロシアの今回の法的取り組みは日本の金融庁にとっての大きなヒントになりうるのかもしれません。