ビットコイン開発者のサトシ・ナカモト氏からのメールが、新たに260通公開されました。
初期開発者のマルティ・マルミ氏が、23日に裁判で明かしています。
仮想通貨企業からなる非営利団体「COPA(仮想通貨オープン特許同盟)」とクレイグ・ライト氏が、ビットコインのホワイトペーパーの著作権をめぐり裁判で係争中です。
その過程でマルミ氏が、サトシ・ナカモト氏からのメールを提供しました。
裁判の概要を踏まえて、メールの詳細を見ていきましょう。
要点
マルティ・マルミ氏が証人としてサトシ・ナカモト氏のメールを公開
マルティ・マルミ氏は、COPAとクレイグ・ライト氏が対立する裁判に、証人として出廷しました。
そこでマルミ氏は、サトシ・ナカモト氏からの260通にわたるメールを提供しています。
My email correspondence with Satoshi in 2009-2011: https://t.co/jyoX8gXckp
— Martti Malmi (@marttimalmi) February 23, 2024
マルミ氏は当初、個人的メールの公開に抵抗があったといいます。
しかし証人としての出廷により、公開へ踏み切りました。
260通のメールでは、ビットコインの開発をめぐるナカモト氏の考え方がうかがえます。
設計から発行上限、匿名性など、ビットコインの原点となる開発過程がイメージできるでしょう。
マルミ氏はビットコインの初期開発者であり、同通貨の成り立ちを知る一人です。
以上からナカモト氏とのメールは、貴重な資料といえます。
ビットコイン関連裁判によって、ナカモト氏に関する情報が、新たにわかりました。
Xでは以下の口コミがあります。
サトシ・ナカモト氏からのメールの概要
ナカモト氏はマルミ氏に対し、ビットコイン関連の思想をメールで伝えています。
たとえばコンセンサスアルゴリズムではあるPoW(プルーフ・オブ・ワーク)について、二重支払を防ぐ基盤と説明しました。
PoWこそが、第三者機関の介入なしで、P2Pの電子取引を成立させる解決策と語っています。
2100万BTCという発行上限については、既存通貨と類似価格になるよう意識していたようです。
しかし将来への見通しが不透明なので、バランスを取って2100万BTCに決めたとされます。
またビットコインで有名な匿名性について、ナカモト氏は強調しすぎるべきでないと語りました。
ビットコインアドレスにより取引履歴が追跡可能なので、匿名性の永久的な保持が難しいからです。
以上を踏まえて、ブロックチェーン悪用の犯罪も予期していたようです。
このようにナカモト氏は現在のビットコインにつながる思想を、関係者に細かく伝えていました。
ビットコインのホワイトペーパー著作権をめぐり裁判が継続中
ナカモト氏のメールが公開されたきっかけは、ビットコインのホワイトペーパー著作権をめぐる裁判です。
2021年にクレイグ・ライト氏が、ビットコイン開発・管理を手がけるBitcoin.orgなどを、ホワイトペーパーの著作権侵害で訴えました。
ライト氏はこの裁判で被告側に対し、ホワイトペーパーの掲載取り下げを求めています。
一方COPAはライト氏の主張に異議を唱え、彼の権限の制限を求め、新たな訴訟を起こしました。
COPAとの裁判でライト氏が勝訴すれば、ビットコイン関連の知的財産権を保有できます。
その結果、開発者たちのビットコインコードベースの活用を制限したり、システムの利用条件を決めたりできるのです。
ライト氏の動向次第では、ビットコイン関連の開発がスムーズに進まない可能性もあります。
そのためクレイグ・ライト氏が関わる裁判は、仮想通貨業界を中心に注目されています。
裁判の注目度が高いため、ナカモト氏のメールの公開も重要だったのでしょう。
まとめ
ビットコイン関連裁判で、サトシ・ナカモト氏のメールが公開されました。
発行上限や匿名性など、現在のビットコインにつながる重要な情報が見られます。
ビットコインのホワイトペーパーの著作権をめぐり、裁判は継続中です。
しかしナカモト氏のメールが公開されたため、別の意味での関心も集まったでしょう。
今後の裁判の行方だけでなく、ナカモト氏の今後の情報も気になるところです。