6月26日、アメリカのリップル社がXRPのマネーロンダリング(資金洗浄)対策技術発展のため、イギリスのテクノロジー企業Coinfirmとの提携を開始したとForbesが報じました。
今回の提携は、リップル社が発行する国際送金のローコスト化を目的とした決済システム「xRapid」の悪用対策としても重要視されるでしょう。
CoinfirmのCEOであるPawel Kushkowsky氏はリップル社と2ヶ月前に提携契約を結んだと話していますが、リップル社側からはまだ公式なコメントが発表されていません。
今回の2社の提携は何を意味し、どんな問題を解決できるのでしょうか。
要点
リップルがマネーロンダリングに利用されるのを防ぐため、リップル社はCoinfirmとの提携により不正送金防止技術の開発に取り組むと見られています。
リップルとCoinfirmがマネーロンダリング対策技術で提携へ
アメリカのリップル社が、仮想通貨のマネーロンダリング問題の解決に本腰を入れ始めたようです。
マネーロンダリングとは日本語で「資金洗浄」と訳されます。犯罪により獲得した資産を、複数の口座などに経由させて、不正なお金でないように見せかける行為です。
リップル社はイギリスのテクノロジー企業Coinfirmと提携を開始し、ハッキングによる流出などで不正に獲得されたリップルのロンダリングを防止するため、コンプライアンス技術開発で協力しあうとのことです。
提携開発された技術で期待されること
今回の提携で開発されるであろう技術はミキシングサービスのデータ識別を目的としています。
ミキシングとは、仮想通貨において複数の取引データをミックスし、送金元をわからなくする技術です。
匿名性の向上に役立っていますが、マネーロンダリングや脱税などの違法行為に利用されるケースもあります。
ミキシングサービスのデータ識別対策は、公開アドレス以外の個人情報は、ヨーロッパではEU一般データ保護規則の関係もあり、触れられないようになっているそうです。
しかし、取引アドレスを地域リスクや内容の匿名性などを基準に99点満点で評価し、高かった場合はマネーロンダリング関係を疑い、情報解析が可能とされています。
これでミキシングを受けた匿名性の高い取引内容でも、マネーロンダリングに使われたものを見破れるそうです。
Coinfirmのようなコンプライアンス技術は複数の規制に対応できるため機能しやすいとされており、リップルの安全性が高まる可能性は大いにあるでしょう。
仮想通貨流出事件の教訓は生かされるのか
今回報じられたような仮想通貨のマネーロンダリング防止技術の背景には、過去に起きた数々の仮想通貨流出事件があるでしょう。
日本では2013年にビットコインが流出した「マウントゴックス事件」、2018年1月にはNEMが流出した「コインチェック事件」が発生し、世間を騒がせました。
リップルでも、2018年2月に福島県で50代女性が不正アクセスにより2500万円分のリップルを盗まれる事件が発生しています。
また、リップル社とCoinfirmの提携報道の翌日には、シンガポールの仮想通貨取引所である「ビットゥルー」でカルダノ(ADA)とともにリップルが流出する事件が起きてしまいました。
このようにハッキングで盗まれた仮想通貨の多くはマネーロンダリングを受けていると考えられます。
特にリップル社はスピードやローコストをウリにした決済技術「xRapid」や「xCurrent」を目玉にしているので、これらがマネーロンダリングなどの不正送金に使われるわけにはいかないでしょう。
卑劣な行為を阻止するためにも、資金洗浄を防止する技術は喫緊の課題ではないでしょうか。
リップル社がCoinfirmと提携し、以上のような技術の開発を進めれば、取引所のハッキングや不正送金などに対する抑止や、仮想通貨業界のセキュリティ意識向上にもつながると考えられます。
まとめ
Forbesはリップル社とCoinfirmがマネーロンダリングを阻止するコンプライアンス技術開発のため提携したと報じています。
しかし、リップル社側からの公式コメントがまだなく、続報が待たれるところです。
それでも今回の提携でマネーロンダリング防止技術が発展すれば、犯罪に対する抑止力だけでなく、仮想通貨業界全体のセキュリティに対する意識向上にもつながるでしょう。