昨日、維新の会、音喜多議員が参議院財政金融委員会において、暗号資産の税制やレバレッジ規制について質疑を行いました。
以前より税制やレバレッジ規制が一般投資家の参入障壁となり、海外との競争力が落ちてしまうことへの懸念が話題に挙がっています。
麻生大臣はのらりくらり
音喜多議員は、現在2倍となっているレバレッジ(証拠金倍率)や雑所得となっている税制区分について、金融庁企画市場局長と麻生金融担当大臣に対して質疑を行いました。
中島金融庁企画市場局長への質疑
まずは中島金融庁企画市場局長への質疑が行われました。
以前行われた暗号資産交換業等に関する研究会において証拠金倍率いわゆるレバレッジに関する検討が行われ、内閣府令で上限を2倍とすることになりました。
これには業界から多くの反対があったのですが、覆ることなくここまで来ています。
これによる海外事業者編資金流出や国内企業の資本力・サービス低下につながりかねないという懸念があります。
そもそも暗号資産交換業等に関する研究会に集められたメンバー選定に疑問を持つ人も多く、そのあたりを音喜多議員が問いました。
音喜多議員
実際に取引にかかる知見やユーザーである投資家の視線が不足しており誤った情報判断が一部に見受けられます。
特に有識者が判断基準の一つとしている海外取引所は様々な点で環境が大きく異なり一概に日本の比較対象とすることは不適切です。
実際多くの実務者、関係者から有識者会議の議論内容について疑問が指摘されているわけですが、この仮想通貨交換業等に関するメンバーの選定をお伺いします。
また、トレーダーや暗号資産取引実務者がほとんど参加しておらず議論が不十分であると考えますが。
中島金融庁企画市場局長
本研究会には暗号資産や金融取引に関する学識関係者や技術に明るい有識者、暗号資産交換業者や外国為替証拠金取引いわゆるFX取引の業界団体など幅広い関係者にご参加いただきご議論をいただいたと考えております。
また、暗号資産のでデリバティブ取引における証拠金倍率における条件は内閣府令で定めたところでありますが、その決定にあたっては一般の投資家いわゆるトレーダーも対象に含めたパブリックコメントの手続きも経たところであります。
音喜多議員
まさにそのパブリックコメントには非常に反対意見が多かったわけです。
金融庁との強い結びつきのある自主規制団体では金融庁の方針に正面から異を唱えられねないという事情は差し引かねばならないと思います。
日本暗号資産ビジネス協会などから意義が表明され暗号資産メディアからも共同の反対声明が出されています。
この問題になっているレバレッジ2倍という引き下げ規制を行えば海外事業者への資金流出を招き、国内企業の資本力及び資産の低下につながると懸念しています。
今回の規制は過剰ではないかと考えますが。
中島金融庁企画市場局長
暗号資産のデジタル取引のうち証拠金倍率の上限に関しては仮想通貨交換業等に関する研究会の報告書において仮想通貨の価格変動は法定通貨よりも大きいことを踏まえ、実態を踏まえた上限を設定することが適切と考えられます。
またEUにおける規制で2倍とされていることなども踏まえて2倍とすることを基本と検討するべきとの意見があったということです。
これを踏まえてその具体的な上限については外国為替証拠金取引いわゆるFX取引にかかわる証拠金倍率と同様の考え方のもと、過去のデータから取引量の多い主要な暗号資産の一日の価格変動をカバーする水準を算出勘案して2倍と設定しております。
また今年の3月12日においての暗号資産の価格は大幅に下落し、一日の変動率はビットコインで37%でイーサで42%となっており、一日の価格変動をカバーする証拠金倍率の上限としては2倍程度が相当となっていると考えております。
ビットコインやイーサの価格変動幅が大きいのは事実です。
実際に6/2-6/3にかけても大きな上下動がありました。
ここまでの質疑・回答を聞いていると、まだ話が進みそうにないという感じがします。
麻生大臣答弁『暗号資産って怪しげな感じ』
最後に、麻生大臣への質疑が始まりました。
レバレッジ規制ではEUが2倍としているという話も出ました。
しかし海外を参考にしているのは規制ばかりで税制に関しては最大税率55%の総合課税(累進課税=所得が大きくなるほど税率が上がる)となっている点も投資家内で是正してほしいと声が上がっています。
株式における所得は分離課税で、所得に関わらず20%の税率となっています。
また、損失に関しては翌年に繰り越すことができるなど、株式投資並みの税制を暗号資産にも適用すべきとの指摘がありました。
音喜多議員
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レバレッジを流動性の観点から下げれば安全なものではないということは研究結果で示されております。
最後に大臣に伺いたいのですが、金融庁の方からも海外のレバレッジ規制のお話がございました。
そうであれば規制だけでなく税率の方も海外とあわせて検討いただきたいと思っています。
具体的には現在最大税率55%の総合課税ではなく分離課税にすること。
損失通算と損失の繰り越し控除を認めること、少額決済を非課税化することなど、金融庁として税制改正をするべきです。
ここまで海外ときちんと比較し制度を改めれば再びブロックチェーン技術暗号資産は世界と伍するようになれると考えますが、最後に大臣の考えをお伺いします。
麻生大臣
暗号資産という名前もなんとく暗号って言われるとね、怪しげな感じがなきにしもあらずなんですけど。
別の名前を考えて、ステーブルコインって言ってるんだからもう少し良い日本語使ったら良いんじゃないかなと思います。
ステーブルコインっていう名前の方がよほどステーブルに聞こえない?そういうことを考えた方がよっぽど言っている話が現実的になってくるんだと思うけど。
日本においては株式の場合だけ分離課税の対象としてるのはご存知のように所得税の再分配理論という部分をある程度損なってでも株式の家計というものに対して比率を占めないと。
今1900兆円くらいあります個人金融資産のうち950-960兆円が現預金ですから、これだけ金利の低い中でおかしい。
もう少し貯金より投資というものを勧めさせていただいてNISAだとかこどもNISAだとか進めて投資を勧めさせていただいているという我々の政策を前提としてやってきている。
音喜多さんの話からすると、暗号資産というものを家庭にも勧めろと言うことになってくるんじゃないかなと思うので、なかなかいまの段階では難しいんじゃないかなと思っています。
金融庁としても、ある程度所得再分配の理論を損なっても個人資産を投資に回すことを推進したいという考えがあるようです。
ただ、現状の暗号資産を考えると、株式並みの制度で家庭に投資を勧めるのは難しいのではという見解ですね。
今回の暗号資産に関する質疑内容は以下の通りです。
[2]暗号資産行政について
1. 暗号の証拠金倍率の議論を行っていた「仮想通貨交換業等に関する研究会」のメンバーの選定理由如何。トレーダーや暗号資産取引の実務者がほとんどおらず議論が不十分であると考えるが見解如何(金融庁)
2. 暗号資産の証拠金倍率を2倍に下げる規制は海外事業者への資金流出を招き、国内企業の資本力・及びサービス低下に繋がるなど問題点は多く、過剰な規制であると考えるが、見解如何(金融庁)
3. 暗号資産税制について、雑所得に区分される税制をあらためて、国際水準並みの税率にするべく金融庁が旗振り役となって要望するべきと考えるが、金融大臣としての見解如何(麻生太郎金融担当大臣)
まとめ
世界各国ではブロックチェーン技術や暗号資産の実用化に向けた動きは止まることはなく、日々進歩しています。
ただ国内ではまだまだ議論の余地があり、理解を進めていく必要がありそうですね。
これからの業界の動き、暗号資産をめぐる制度に関しても注目していきましょう。
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