自民党のルール形成戦略議員連盟が、日本円のデジタル化を早急に検討するように促す提言を決めたと、日本経済新聞が報道しました。
要点
自民党の議員連盟が中国のデジタル人民元について提言へ
自民党のルール形成戦略議員連盟は、中国が計画しているデジタル人民元(CBDC)が急ピッチで進んでいることを背景に、阿部首相あてで管義偉官房長官に提言を渡す予定であることを明かしました。
これについて党のメンバーであり、外務副大臣の中山展宏氏はブルームバークのインタビューで、アメリカの連邦準備制度の支援が必要であることを語っています。
デジタル人民元は、既存の世界準備通貨制度と通貨覇権への挑戦だと感じています。米国なしでは、既存の準備通貨と国際決済システムに挑戦する中国の努力に対抗することはできません
マネーロンダリングや、個人情報の保護の観点から法整備を求めた他、6月に行われる主要7カ国(G7)の会議で、デジタル通貨を取り上げるように訴えています。また、アメリカと連携し、アメリカドルの基軸通貨体制を保つことの重要性についても指摘しました。
元日本銀行の金融決済局長であった山岡氏も、中国が人民元をデジタル化することで、潜在力を高める可能性について日本が懸念していると語っています。
中国が計画しているデジタル人民元(CBDC)
中国は、仮想通貨そのものや取引所への厳しい姿勢を保っていましたが、2019年の10月に「暗号法」が制定されたことにより、人民元のデジタル化を国家として注力する姿勢が明らかになりました。
デジタル人民元について、中国人民銀行の穆長春研究所長は、「皆さんが考えるような仮想通貨ではなく、あくまで人民元をデジタル化したものだ」と語っています。
穆氏によると、デジタル人民元は投機するような小品んではなく、一般的な支払いに使うために存在する位置付けで、法定通貨を裏付けとしてステーブルコインとも、ビットコインとも違うものであると説明しています。
そのため、中国人民銀行が発行する仮想通貨ではなく、商業銀行などを通して、人民元と交換することで取得できるものになるそうです。
まずは、深センや蘇州での試験運用を行い、中国国内のみで流通されることを想定して開発されるとのこと。
三菱UFJがデジタル通貨を開発中
日本でも、三菱UFJ銀行が、「MUFJコイン」を開発していると2017年に公開し、デモンストレーションなどを披露していた。
最近では、その名称を「Coin」に変更し、リクルートホールディングスと共同でデジタル通貨を発行するための新会社を設立する予定であると共同通信が報じています。
それによると、リクルートグループと関係のある飲食店や小売店で「Coin」が使えるようになる予定で、2020年前半のサービスリリースを目指しているようです。
この報道後に、同社は新会社の設立については認めたものの、それ以外には何も決まって来ないとのコメントをしていますが、もしこれが事実であれば、仮想通貨が一般的に利用される未来に大きく前進するのではないでしょうか。
まとめ
中国のデジタル人民元や、アメリカのリブラなど、各国が通貨をデジタル化する施策を進めている一方、日本政府は仮想通貨への規制を推し進めているような印象を受けます。
今回自民党が提言した内容によって、日本円のデジタル化が進むのかどうか、今後の動向に注目していきたいですね。