要点
・不正アクセス⇓実行犯は、仮想通貨モネロを口座へ送る様指示していた事も分かっています。
トランプ大統領選挙サイトが乗っ取られる
コロナパンデミックの影響を大きく受け、アメリカの2020年7月の完全失業率は10.2%、8月の失業率は8.4%となっています。
4カ月連続で前の月より改善したものの、4~6月期の経済成長率は前期と比べて-31%にまで落ち込むなど、冷え込んだ経済の立て直し、人種差別問題など、あらゆる場面にまで影響が及び、2020年のアメリカ大統領選挙は史上最も緊迫したものになるだろうとの見方が大半でした。
また、強硬かつ破天荒な言動により、世界的なニュースが報じられるトランプ現大統領はこれまで度も金融市場や仮想通貨市場をかき乱してきました。
今年開催される大統領選では、投票アプリ「Voatz」を利用し、ユタ州ではブロックチェーン技術の特性を生かした投票が可能になった事が報じられるなど、大統領選が仮想通貨の価格にも影響を及ぼす気配が見え隠れし、ユーザーや市場関係者も固唾を飲んで見守っています。
そんな状況の最中で、トランプ現大統領の選挙キャンペーンウエブサイトに30分間アクセスできなくなる事態が発生し、緊張が走りました。
トランプ大統領陣営のウエブサイトの一つであるdonaldjtrump.comが27日に何者かによって30分間アクセスできなくなったほか、改ざんされるというショッキングなニュースが飛び込んできました。
サイトにはこの間、法執行機関に差し押さえられたように見せかける文章が掲載されていたほか、アメリカ司法省とFBI(Federal Bureau of Investigation=アメリカ連邦捜査局)の公式紋章が掲載されていました。
さらに、サイトへ訪問した閲覧者に対し、仮想通貨モネロ(Monero/XMR)を口座に送るよう促す表示もされるなど、インターネットと仮想通貨を利用したよく見られる手口でサイトが乗っ取られていたことが海外メディアによって報じられました。
トランプ大統領側の被害について
今回の大統領選挙はここ10年で最も緊迫した選挙になるだろうと予想されている今、突然ハッカーによって今選挙期間中、最も挑発された偽情報キャンペーンが送り込まれ、関係者らが対応に追われています。
ハッカーは「このサイトは押収された。ドナルド・トランプ大統領によって毎日広められた偽のニュースが世界に十分にある」という通知を投稿していたことが分かっています。
ハッカーは、侵害されたデバイスにアクセスしたことを宣言したうえで
「厳密に分類された情報...トランプ政府がコロナウイルスの起源に関与していることを証明しました。トランプは、明らかに2020年の選挙を操作する外国の俳優との犯罪的関与および協力をしている(原文直訳)」。
とウエブサイト上に記載していたことが分かりました。
また、悪意ある書き込みを行っただけではなく、ハッカーはウエブサイト訪問者に対し、ハッカーがよく使用するプライバシーコインの一つであるMoneroを「はい」または「いいえ」のアドレスに送信して、そのデータを共有するかどうかについて投票するよう付け加えています。
ハッカーはモネロを要求した理由についても言及しており、締め切り後、資金を比較して世界の意志を実行し、(結果が)どちらの場合であっても通知します。と声明を出しています。
改ざんを行った犯人について現時点では特定されておらず、ハッキングされていたのかなどの詳細についても現段階では不明とのことです。
トランプ陣営の選挙キャンペーンのスポークスパーソンティム・マートー氏は、機密データがウエブサイトから取得されたことを否定しており、現在はすでに通常の状態に戻っているとコメントしました。
ウエブサイトを一定期間乗っ取り、仮想通貨を要求する手口は以前より度々発生しているものの、今回の仮想通貨身代金要求詐欺は大統領選挙がわずか1週間後に開催される直近であり、国家情報機関が外国のハッカーによる偽情報キャンペーンに非常に警戒していることを考えると、今日のハッキングは軽視できないと海外メディアは報じています。