要点
・同取引所では、ユーザーの拠点がアメリカにある場合は90日以内に資金を引き出すよう案内しています。
・これらの措置はバイナンスが2019年9月から米国居住者へのサービスを停止することを発表してから1年以上経過してからの措置です。
バイナンス(Binance)が米国をブロック
世界一の取引量を誇る仮想通貨取引所バイナンス(Binance)が、アメリカを拠点とするユーザーがプラットフォームにアクセスするのをブロックし始めたことがわかりました。
この動きは、同取引所が2019年7月、同年9月からアメリカに居住する者に対し、サービスを停止すると発表してから1年が経過指定からの措置でした。
これまで、取引所は依然としてアメリカのユーザーがプラットフォームにアクセスすることをいわばスルーしていましたが、最近同取引所は米国居住者に対し《 私は「アメリカ人」ではありません 》と表示される質問事項にクリックするするよう求めており、この手続きをすることでBinance.comでアカウントを設定でき、現在も引き続き設定可能とのことです。
しかしバイナンスは現在、IPアドレスに基づいてアメリカ居住者にメールを送付しており、以前に発表された米国居住者へのサービス停止措置を実施するためのステップとみられています。
送付されたメールには
過去に接続したIPアドレスが原因で、アカウントがアメリカと関連付けられている可能性があることがわかりました。規制要件に従い、アメリカ国民またはアメリカに居住している者に対し、サービスを提供できません。アメリカ国民または居住者の場合は、90日以内にアカウントから資産を譲渡してください。BinanceU.Sまたはその他のアメリカ国内の取引所使用を検討してください
と記載されています。
Binanceのカスタマーサポート側は、システムがアカウントへのアクセスを検出するか、メールに記載されている要素がアカウント内で検出されると、このメール通知がユーザーに送信されまる事を明かしたと海外メディアは報じています。
バイナンス(Binance)の抱える問題とは
バイナンス(Binance)の動きは、アメリカ政府が仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXに対して2つの訴訟を起こした直後に実行されており、少なからずこの問題と切り離せない問題をバイナンスが抱えていることがうかがえます。
アメリカ司法省とアメリカ商品先物取引委員会は最近、BitMEXとその創設者を、KYC(Know Your Customer=本人(顧客)確認)およびAML(Anti-Money Laundering=アンチマネーロンダリング)防止規制に違反したとして起訴してばかりでした。
このケースに照らし、BitMEXはKYCプログラムを加速させ、2021年2月の当初の期限より3カ月早い11月5日までにすべての顧客を確認しなければなりませんでした。
さらに、デリビット(Deribit)についてもIPアドレスに基づいてアメリカ居住者をブロックしているものの、今年中にすべてのユーザーを確認しなければならないことが分かっています。
Binanceは、当局からの精査回避のため、規制当局の指示に従う姿勢をみせており、 9月にFATF(金融活動作業部会)はレポートを発表し、表面上は規制を回避するために、業務の中心をシフトさせることに何年も費やしてきたことを示唆しています。
ごく最近、大手メディアのフォーブスが、アメリカの規制当局の監視を回避するためにバイナンスが実施している取り組みを詳細に解説したレポートを公開しています。同レポートは「太極拳ドキュメント」と呼ばれ、バイナンスが意図的に規制当局を欺き、アメリカの仮想通貨投資家から利益を得るために設計された精巧な企業構造を考案したと述べられています。
その根拠となったのが、2018年のドキュメントであると述べ、未公開文書であったことも分かっており、このレポートには、後にBinance.USとなったアメリカを拠点とする企業を使用するためのロードマップも含まれていました。