24日にEU理事会が、データ法に基づく新法案に合意しました。
しかしこの法案にはスマートコントラクトを制限する可能性が指摘されています。
仮にEUで制限が生まれた場合、イーサリアムなどの仮想通貨にも悪影響です。
EU理事会の動向と、それをめぐる業界の声を紹介します。
要点
EU理事会が合意した新法案はデータ法に基づく
24日にEU理事会は、データ法に基づく新法案への合意を示しました。
データに対するアクセスや利用の公正化が目的です。
そのために法案を通してルールを定めます。
しかし新法案施行によって、仮想通貨のスマートコントラクトへの影響が懸念されます。
今回の法案は、IoTがターゲットです。
インターネット接続の家電や、それをコントロールするコンピューターシステムなどの利用に、法案が関わります。
ハッキングのような悪用に使われるリスクから、EUが明確な規定を示すのでしょう。
最終的な法案内容は、EUの議会と理事会による議論で詰められます。
まだ施行が決まったわけではありません。
しかし仮想通貨もインターネットとの関わりが深いだけに、今後の動向が気になるでしょう。
EU理事会の合意法案はスマートコントラクトを制限する?
EU理事会の合意法案について、スマートコントラクト制限の可能性が指摘されました。
新法案では、同技術へのキルスイッチ搭載が義務づけられます。
しかしブロックチェーンのコミュニティに対して、この義務が悪影響を与えるかもしれません。
データ法に基づく新法案では、スマートコントラクトでのキルスイッチ搭載義務が物議になっています。
ここでのキルスイッチとは、同技術の活動を中断または終了させられるシステムです。
搭載義務によって、今後ブロックチェーンのコミュニティにも響くかもしれません。
機能制限によってスマートコントラクトが働かないと不便です。
もともと同技術は、第三者の介在なしで契約を決められて、取引におけるコストや手間の削減を望めるのがメリットです。
制限がかかれば、その利便性は否定されるでしょう。
スマートコントラクトは自動化プログラムですが、データ法の制限で使いにくくなるおそれがあります。
EU理事会はあくまでもIoTへの規制を試みているようです。
しかし仮想通貨もインターネットに関わるため、新法案の運用次第では機能制限を受けるかもしれません。
そうなれば仮想通貨やブロックチェーンのコミュニティが悪影響を受けます。
今後の議論でどのような結論が出るのでしょうか。
欧州理事会の動向をめぐる業界の声
EU理事会の新法案合意をめぐり、仮想通貨業界からもさまざまな声が挙がりました。
たとえば非営利のブロックチェーン組織「EUCI(欧州暗号イニシアチブ)」のMarina Markezic代表は、悲観的な見方を示しています。
訳:提案された規則は、我々が今日知るスマートコントラクトに合うものではなく、規則に合うような別の技術の開発を強いるかもしれません。
新法案のためにスマートコントラクトのあり方を見直さなければならないという考えです。
既存の技術が使えなくなり、新しい技術を作る手間を懸念しています。
一方でブロックチェーンソフトウェアを提供するConsenSysのNatalie Linhart法律顧問は、新法案のスマートコントラクトへの適用を限定的と見ています。
つまり同技術の大幅な規制を否定する見方です。
スマートコントラクトはイーサリアムをはじめ、さまざまな仮想通貨で使われています。
EU理事会の動向次第では、欧州で利便性を失う可能性があるため、今後の議論を注意深く見守りたいところです。
仮にスマートコントラクトへの規制が強まれば、仮想通貨への影響があるでしょう。
まとめ
EUでスマートコントラクトが規制を受けるかもしれません。
理事会が合意した新法案では、同技術へのキルスイッチ搭載が義務づけられるからです。
まだ施行が決まったわけではありませんが、実現ならイーサリアムの将来性にも影響するでしょう。
これからEUで議論が進む見通しですが、果たしてスマートコントラクトのあり方が変わるのでしょうか。