要点
・手数料は日本円で3億円近くがはじき出されています。
イーサリアムトランザクションで巨額手数料!?
今月10日、イーサリアムトランザクションで、わずかなETH送金に対して驚く様な金額の手数料が発生していることが分かりました。
(画像引用先 Etherscan)
1度目は今月10日、09:47 UTC(日本時間の10日18:47)頃0.55ETH(127.37ドル)の送金に対し、取引手数料が10,668.73185ETH(2,603,170.57ドル)
(※画像引用先 Etherscan)
2度目は昨日11日、03:30UTC(日本時間の12日12:30)頃、350ETH(81,522ドル)の取引に対し、取引手数料が10,668.73185ETH(2,484,961.02ドル)という巨額手数料が提示されたトランザクションが確認されたことが分かりました。
Yet another "goose egg" transaction, this time on Ethereum. Someone paid $2.5m USD in transaction fees, to send $133. They almost certainly swapped the fee with the amount to send.https://t.co/3Vp8iHTgGP
— Emin Gün Sirer (@el33th4xor) June 10, 2020
https://platform.twitter.com/widgets.js
(日本語訳)
今回はイーサリアムで誰かが133ドルを送るために、取引手数料として250万ドルを支払いました。彼らはほぼ確実に手数料を送金額と交換しました。
今回のトランザクションは、両日とも手数料の金額が同額の類似性が見られることから、ユーザーが誤って料金を送信金額と入れ替えてしまったヒューマンエラーの可能性があると推測されています。
その一方で、マネーロンダリングに利用された可能性や、取引所の自動送金システムにおけるバグによってこのような驚きの手数料が発生してしまったのではないかなど、さまざまな声が交錯しています。
Definitely a mistake.
I'm expecting EIP 1559 to greatly reduce the rate of things like this happening by reducing the need for users to try to set fees manually.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) June 10, 2020
https://platform.twitter.com/widgets.js
今回のトランザクションに対し、Ethereum共同創設者のVitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏は
(日本語訳)
完全な間違いです。
EIP 1559では、ユーザーが手動で料金を設定する必要性を減らすことで、このような事態の発生率を大幅に削減できると期待しています。
とツイートしました。
仮想通貨をレットZenGoのブロックチェーン研究者であるAlex Manuskin(アレックス・マヌスキン)氏は、アカウントが取引ボットに属している可能性がある。
取引手数料がボットのコードのエラーであると考えていると、仮想通貨に詳しい海外メディアのTHE BLOCKの取材に答えています。
同氏は続けて、考えられる可能性として、送信された値とガスの価格との間のボットコードの混合の可能性があり、送信者は、1分ごとにトランザクションを送信していることが分かっており、このような行動は(人間の)オペレーターには感じられない。
同じ操作を繰り返す取引所の、ある種のトレーディングボットの可能性があると語っています。
この件にかんしてEthermine ETHプールオペレーターのBitflyは、6月11日にツイートを公開。
Today our Ethermine ETH pool mined a transaction with a ~10.000 ETH fee (https://t.co/B5gRWOrcPf). We believe that this was an accident and in order to resolve this issue the tx sender should contact us at via DM or our support portal at https://t.co/JgwX4tGYr4 immediately! pic.twitter.com/sWxVRx5muv
— Bitfly (@etherchain_org) June 11, 2020
https://platform.twitter.com/widgets.js
トランザクションを明確にし、返金を受けるために送信者に連絡するように求めています。
さらに、イーサリアムのマイニングプールSparkPoolも同様に6月10日のトランザクションを凍結し、解決策を進める前に送信者からの連絡を待っていると主張しています。
イーサリアムのガスとは?
今回の巨額手数料発生に際して登場した「Gas(ガス)」。
ガスはイーサリアムの“送金手数料”として説明されることが多いのですが、なぜイーサリアムのトランザクションにガスが必要なのでしょうか?
今回頻繁に登場したこのガスとは、イーサリアムブロックチェーンにおけるトランザクションを実行する際、支払われる手数料のことを指しています。
イーサリアムには、Gas Price(ガスプライス)とGas Limit(ガスリミット)の2種類のガスがあり、ガスプライスは1Gasあたりにおける単位を、ガスリミットは発行するトランザクションの実行において消費されるガス消費の上限を表しています。
コンセンサスアルゴリズムのPoW(プルーフオブワーク)の性質上、マイナーは、受け取る報酬を最大化するため、ガスプライスが比較的高く設定されたトランザクションから優先してブロックに取り込もうとします。
ガスプライスを高く設定すればより早くトランザクションが実行されることになります。