9月上旬に中東でCBDC（中央銀行デジタル通貨）をめぐる動向が相次ぎました。
Moneycontrolによるとインド準備銀行が2022年度内に、CBDCの実証実験を行う見通しです。
Bloombergによるとサウジアラビア中央銀行でも、CBDCプログラムのリーダーが決まりました。
それぞれの動向を見ていきましょう。
要点
インドがCBDC実証実験を2022年度内に開始か
インド準備銀行は、2022年度内をめどにCBDC実証実験を始める準備を報じられています。
実証実験を見据えて、さまざまな機関と協議中です。
協議相手は主に以下のとおりとされています。
・米金融大手「フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ」（FIS）
・その他多数のフィンテック企業
インド中央銀行は、上記のように多数の組織との協力を望んでいるようです。
複数の機関とノウハウを共有しながら、CBDC推進計画を進めていくのでしょう。
とくにFISは、インド中央銀行への助言を報じられています。
CBDCに利子がともなうことや、クロスボーダーCBDC決済などが議題のようです。
Coinpost報道によると、インド中央銀行は以前からCBDCの評価を進めていました。
2021年には関連レポートを公開するなど、関心の高さをアピールしています。
このようにCBDCの社会進出について、機運を高めている状況です。
インドでは、仮想通貨の規制整備が進んでいます。
2022年3月には仮想通貨所得への30％課税に加え、損益通算対象外とする法案を可決しました。
仮想通貨の規制が厳しくなっていることから、CBDC推進の意欲が高いと見られています。
以上からインドでは、CBDCに関して今後もポジティブなニュースが報じられそうです。
サウジアラビア中央銀行がCBDCプログラムリーダー決定
サウジアラビア中央銀行では、CBDCプログラムリーダーが決まりました。
元アクセンチュア幹部であるMohsen AlZahrani氏です。
CBDC関連計画の体制が整うことで、推進の可能性がうかがえるでしょう。
サウジアラビアでも、以前からCBDCへの取り組みに熱心です。
2019年にはUAE（アラブ首長国連邦）中央銀行と共同で、CBDCクロスボーダー決済の実証実験をしています。
2021年の試験結果公表では、優秀なセキュリティや高パフォーマンスなどを評価していました。
ロイター通信によるとサウジアラビアは2022年2月に、メタバースをはじめとした先端技術に対する約7000億円以上の投資をすると明かしました。
このようにCBDCやメタバースなど、先進技術への関心が高いといえます。
しかしサウジアラビア当局は、仮想通貨推進には慎重のようです。
Coinpostによると2018年には関連取引について、高リスクであるとの警告を発していました。
隣国であるUAEとのスタンスとの違いが気になります。
UAEでは仮想通貨取引に積極的だからです。
CBDCではUAEと協力関係のサウジアラビアですが、仮想通貨と違った形でデジタル資産を推し進めたいのでしょう。
まとめ
インドとサウジアラビアで、CBDC計画が進んでいます。
とくにインドは実証実験まで視野に入っているため、世界的な注目が集まりそうです。
CBDCは作成や管理コストの低下に加え、仮想通貨に見られるマネーロンダリング防止などのメリットが期待されています。
中東以外でも中国やスウェーデンなどがCBDC推進に積極的です。
新しい経済のあり方として、今後も動向が見逃せません。
