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国税庁が雑所得として扱うと発表
日本人の間でもビットコインをはじめとした仮想通貨を使った運用をしている人も増えてきています。通常投資をして運用益が出た場合には所得になって、課税対象になります。
ところで仮想通貨にかかわる税金の処理はどうなるのかという問題がありました。
2017年9月6日に国税庁から仮想通貨に関する税金の取り扱いについて発表し、その中でほかの金融商品同様取引によって利益が発生した場合、それは雑所得という扱いになると明記されました。
つまり仮想通貨に関する取引で大きく収益をあげればあげるほど、より多くの税金を課せられる形になります。
国税庁公式タックスアンサー:ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
確定申告を毎年行っている人の中ではなじみがあるかもしれませんが、「雑所得」とはそもそも何?という人も多くいるかと思います。
何らかの収入を得た場合、それは所得になります。しかしどのようにしてお金を得たのかによって、同じ所得でも扱いが異なります。
例えばサラリーマンをしていて給料を得た場合には給与所得になりますし、株式運用して配当金を受け取った場合には配当所得という扱いになります。
その中でも雑所得は、他の所得のどれにも属さないものが含まれます。ほかには具体的に年金などの収入、講演料や原稿料など幅広いものが該当します。雑所得の課税はいくら稼いだかによって異なります。
年間195万円以下であれば控除なし、5%の税率になります。最高は4000万円を超える場合で、479万6000円が控除され、税率は45%です。
仮想通貨取引の利益 | 所得税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円を超える金額 | 45% | 4,796,000円 |
例えば1,000万円の利益だった場合は
(1,000万円×33%)-1,536,000円
という計算になるので、1,764,000円を税金として払うことになります。(この金額をどう感じるかは人それぞれだと思います。)
ちなみに1月1日から12月31日にかけての1年間でどれだけの所得が発生したかで課税額が決まります。雑所得の場合、20万円を超えると課税対象になります。
そのため、仮想通貨の運用を行って収益が出たとしても、それが20万円までであれば課税対象にはならず、税務署で確定申告をする必要もありません。少額による運用であれば、確定申告をする必要はないでしょう。
確定申告をする際、複数の所得を得ている場合は損益通算が可能です。例えば仕事をしながら不動産投資をしている人で、不動産投資は赤字をしていたと仮定します。
この場合、自分の仕事の所得から不動産経営の損失分を差し引いた額で税額を決めます。しかし雑所得の場合、このような損益通算ができません。雑所得は雑所得で独立して税額を決めます。
運用した場合が課税の対象に
9月に発表した国税局の通達では、ビットコインを念頭に入れて仮想通貨の税金について指摘されています。2017年4月にビットコインは正式に通貨として認められました。ビットコインで課税対象になるのは、例えば日本円と交換したときに為替の変動によって利益が出た際などが想定できます。
ただし、単にビットコインを持っているだけでは課税されることはありません。
つまりビットコインを購入して、その後価値が上昇して含み益を得ている段階では雑所得扱いにならないので税金を支払う必要はないのです。円やドルに交換して、利益が発生すると税金を課せられますので注意しましょう。
仮想通貨を持っているだけでは課税対象にならないほか、他の商品を購入した場合も同様と解釈されます。
現在日本国内でもビットコインで商品・サービスの購入できるお店も出てきています。この場合も課税対象になりません。
ほかの仮想通貨に交換した場合は?
仮想通貨を日本円に交換して収益の発生した場合には、課税対象になりえます。ここで問題になるのは、仮想通貨を別のものと交換した場合に課税対象になるかどうかです。
国税庁の発表によると、ビットコインからアルトコインに交換して利益が出た場合は課税対象になります。
ただしこのような場合、複雑な問題が出てきますので税理士などの専門家に相談したほうがいいでしょう。このような取引をする場合、専用の取引所で手続きをします。
日本国内にもいくつかデジタル通貨の交換のできる取引所がありますが、海外の取引所を日本国内から利用することも可能です。もし海外の取引所を使った場合、課税対象になるのかどうか、この辺も複雑な問題になります。
海外のカジノで賞金が出たら、海外の宝くじを購入して当選したら、と似たような問題です。このようなところは微妙なので、素人が勝手に判断するのではなく、専門家に相談をしたほうが無難でしょう。
マイニングなどは、仮想通貨が事業所得として扱われる可能性?
ここまで見てきたように、仮想通貨を使って利益が出た場合には雑所得という扱いになります。ただし場合によっては、事業所得扱いになる可能性も考えられます。所得の種類によって課税額の計算のルールも変わってきます。
では、具体的にどのようなケースが事業所得として処理しなければならないのでしょうか。これはマイニングをして発生した利益についてです。
ビットコインで代表されるように、仮想通貨の中にはマイニングのできる種類もあります。マイニングすると一定の報酬が受け取れます。この報酬は雑所得にはならないのではないか、このような税の専門家の指摘もあります。ただしこの部分では判断が専門家の間でも分かれるようです。
事業所得として処理するためには、相当期間の安定収入がある、儲かる可能性は十分あること、職業として認知されていることなど、いくつかのハードルをクリアする必要があります。定期的にマイニングをしている人もいるでしょうが、そもそもデジタル通貨のマイニングを「職業」として扱っていいのかという問題が出てきます。
まとめ
このようにビットコインなどの仮想通貨の運用で利益が出た場合、課税対象になるのは確実です。しかしどのような区分で何をすれば課税対象になるのかは、まだはっきりしないところもあります。ですから税理士や公認会計士などに処理は一任するのが無難でしょう。もし自分で処理をしたければ、近くの税務署で相談するのも一つの方法です。
税務署の職員に相談をすれば、どのように処理をすべきかアドバイスしてくれます。もし確定申告する必要があれば、2月中旬から3月中旬までに手続きを済ませないといけません。
税務署は原則土日休みなので、平日に済ませる必要があります。確定申告と納税の期限は一緒なので、できれば2月中に済ませておいた方がお金の準備も無理なくできるでしょう。
追記
上記の記事で確定申告について詳しくまとめましたので、もしよければ御覧ください。
仮想通貨の損益を一発で計算するツール
世の中には頭のいい人たちがいっぱいいるので、とても便利なツールがあります。
オススメとしてはCoinToolというツールになります。
ビットコインなどの仮想通貨は売買の他にも、他のアルトコインに交換したり、ビックカメラで買い物をしたり、ビットコインキャッシュのようにハードフォークする場合があり、
手動での計算はとても難しくて手に負えないケースが多いです。
CoinToolだと、これらの計算が取引所からダウンロードしたcsvファイルをアップロードするだけで計算が完了します。
また、後述で紹介する他のツールとの違いとして、税理士監修でメールサポートがあるため安心できます。
4,500円の利用料がかかりますが、確定申告を安心して終わらせるための必要経費だと思って利用するのも良いかと思います。