要点
・デジタル通貨は、世界の金融市場におけるドルの優位性を損なう可能性もあると指摘しています。
・現在はほとんどの国がCBDCを模索しており、中でも中国が最も活発な動きを見せています。
CBDCの登場で受ける影響
ドイツ銀行からの新たな報告によると、各国は中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC=Central Bank Digital Currency)が引き起こす可能性のある混乱に対して備えなければならないと警告を発しています。
中央銀行によって発行されるデジタル通貨は私たちの生活を変える可能性が高く、消費者と金融機関はその際に乗じるであろう混乱に対する準備しておく必要があるとドイツ銀行は述べています。
CBDCは、アメリカに特に大きな影響を与える可能性があり、世界中で採用されているCBDCが世界の金融市場における“ドルの優位性”を損なう可能性があるためだと指摘しています。
同銀行は9月に「中央銀行のデジタル通貨:お金の再発明(Central bank digital currencies: Money reinvented.)」と題した報告書を発行しています。
具体的な内容は、各国は自国のデジタル通貨を使用し、アメリカドルを迂回しながら二国間貿易を行うことができます。
国際決済銀行によると、ドルは世界の取引のほぼ90%に関与しており、現在ドルは世界の主要準備通貨として広く認知されています。
したがって、CBDCのようなテクノロジーは、低金利などを通じて有益な可能性があるものの、銀行セクターと中央銀行の政策実用性の両方に混乱をもたらす可能性があると報告書の中で指摘されています。
CBDCが登場するとどうなるのか
世界の中央銀行の80%は、CBDCがそれぞれの経済に利益をもたらせるかどうかを調査しており、政府および政府が主導となって運営されている中央銀行によって発行および規制されており、フィアット(法定通貨)に固定されているため、ビットコインなどの他のデジタル通貨とは異なっています。
CBDCは、たとえばアメリカドルや日本円をデジタル化することで機能する点でフィアットとは大きく異なっています。
さまざまな国の中央銀行は、非常に異なる研究段階にあり、一つの例としてイングランド銀行を見てみると、イングランド銀行はまだCBDCの開発に向けて慎重に歩みを進めている状況です。
そのようなイギリスの状況に対して中国では、すでにデジタル人民元の運用テストへ突入しており、今すぐにでも流通しそうな段階にまで到達していると言われています。
世界初のCBDCを発行することは、2050年までに科学とイノベーションの世界的リーダーになり、準備通貨を提供するという中国の目標に向けた一歩でもあると報告書の中で記されています。
また、個々のユーザーにとって、CBDCはトランザクションをより安価で分散化するのに役立つ可能性がありますが、報告書に、個人の採用には安全でシンプルな支払いが必要であり、ユニバーサルアクセスが保証されている必要があると説かれています。
ただし、報告書はCBDCの広範な経験的リアルタイムテストは行われておらず、技術が世界にどのように影響するかについての将来の質問に答えるために、開発は銀行によって綿密に監視されるべきであると締めくくられています。