値下がりリスクに注意
仮想通貨に投資をしている人も多く、一般にも広く知られるようになって、高騰している銘柄もいくつもあります。
儲かる可能性がある半面、投資をする以上リスクのあることもしっかり認識する必要があります。
仮想通貨に投資するリスクの中でも大きいのは、購入した銘柄の価格が値下がりをする可能性です。それぞれの通貨はその時々の価格によって取引され、しかも値動きは常にあります。
もし特定の通貨を購入して、値下がりが続くようであれば、元本割れを被る危険性が出てきます。しかも運用のやり方によっては、大きな損失を計上する危険性があります。
日本で代表的な投資方法の株式投資を一例にとって見ていきます。
株式投資の場合、ストップ高やストップ安というものがあります。一定のところまで株価が値上がり・値下がりをすれば、そこでいったん値動きを止めてしまいます。
急激な値動きで投資家が大きな影響を受けないようにするための処置です。ストップ安がありますので、それ以上の含み損が発生することはありません。
しかし仮想通貨の場合、このようなルールがまだ整備されていません。ですから値動きがかなり激しく、銘柄によっては、たった1日で2~3割増し・減ということは普通に起こります。
そのため、1か月で倍になったりといういい話の裏側には、半分の資産になったりといったことも起こっています
また株式投資の場合、会社が倒産すれば、資産がゼロ円になってそれでおしまいです。しかし仮想通貨の場合、例えば30万円で購入したものが極端な話1円まで下がることもあり得ます。
しかし少なくてもそのコインの運用が終わるまでは、ゼロ円になることはありません。将来また高騰して価値が戻る可能性ももちろんありますが、このような不透明さも覚悟しておかないといけません。
流動性の危険性
仮想通貨で運用する場合、流動性についても考慮する必要があります。
現金でコインを購入して、それを再度現金化することで利益を確定したり、損切りしたりしますが、もっているコインを売却できなければ、決済できません。
ここで注意しなければならないのは、マイナーなコインを使った運用についてです。マイナーなコインは取引の絶対数があまり多くないため、売りたいと思っても買い手がなかなかつかない恐れもあります。
すると、ずるずる価格が下がってしまって、当初想定していなかった安値で売らざるを得なくなることもあるでしょう。
流動性リスクに対応するためには、メジャーな通貨を使った運用を心掛けることです。
ビットコインやイーサリアムのような主要な仮想通貨であれば、数百万円程度の資金を入れても大きな問題にはなりにくいです。しかしマイナーなコインだと、数十万円の運用でも数%も上下に変動する恐れがあります。
特に、時価総額が10位以下のコインを使って運用する場合には注意が必要です。
デジタル通貨ならではの技術的リスク
これまで紹介した値下がりや流動性の問題については、他の金融商品で運用した場合も同様に付きまといます。しかしデジタル通貨ならではのリスク要因もあります。
それが、技術的なリスクの問題です。
仮想通貨は普通の通貨のように、国などが保証するものではなく、実態が一切ありません。
では、どうやって運営されているかというと、ブロックチェーン技術と呼ばれるものです。
慎重に運営されていますが、またバグが起きて、仮想通貨がうまく回っていかなくなることも十分考えられます。また、セキュリティホールを突かれ、ハッキングをされる可能性もあります。
実際技術的な問題で、仮想通貨の価値がゼロになってしまった事例があり、2016年に発生したDAO事件はとくに有名です。
THE DAO上で不可解なトランザクションが多発したことで発覚しました。そしてチェックしてみたところ、プラットフォームのイーサリウムが勝手に移動していることが判明しました。
実に360万ETHが移動していて、DAOだけでなくETHの価格も暴落して、65億円もの損失を合計で計上してしまいました。
このような問題が発生すると、ある日とんでもない含み損を抱える危険性もあり得ます。
取引所がダメになってしまう恐れも
仮想通貨で運用する場合、取引は取引所を利用することになります。日本国内にもいくつか取引所がありますので、こちらで口座を開設して資産運用をします。銀行や証券会社に口座開設するのと似ています。
しかしここで注意しないといけないのは、取引所が破産する可能性もある点です。とくに有名なのは、マウントゴックス社の破産です。
もちろん銀行が破綻することもありますし、実際過去に何回かありましたが、ペイオフによって、預けている資産のうち1000万円までは資金が戻ってきます。
しかし、仮想通貨の取引所が破産しても、このような保証は一切ありません。取引所の資産状況がどうかによって変わってきますが、ほとんど預けていた資産が戻ってこない事態も十分想定できます
先に紹介したマウントゴックスの場合、破綻時点で残っていた資産は120億円程度でした。
しかし、債権者の取り立て金額は456億円にも上り、3倍以上なので、回収することはほとんどできませんでした。
2017年になってビットコインの価値が5倍になったので600億円相当になり、配当されるのではないかという話も出ていますが、現在もはっきりしたことはわかっていません。
取引所は健在でも、自分の口座に不正にアクセスされるリスクがまだ残ります。取引所に口座開設するためには、メールアドレスやパスワードが必要です。
この情報が解析されると、皆さんになりすましてほかの口座に送金されて、不正に資産を盗まれることもあり得ます。
もしこのような被害があったとしても、取引所は資産の保証をしてくれません。警察に被害届を出すことも可能ですが、もし海外の口座などに送金されてしまうと追跡するのも限界があります。
ですからパスワードは簡単に解明されないように複雑なものにすることです。
もしくは2段階認証といって、パスワードプラスアルファの情報を入力しないとログインできないようにするなどのセキュリティ対策は必ず講じましょう。
まとめ
値上がりが著しく非常に魅力的な仮想通貨界隈ですが、ここで紹介したセキュリティリスク以外にもICOにおける詐欺など、気をつけなければいけない事が数多くあります。
甘い話や過度な金額の投資には気をつけて取引するようご注意ください。